2021年03月01日

シリーズ04「ESG投資を身近に考える」 たばこ関連企業はESG投資の標的? シリーズ04「ESG投資を身近に考える」 たばこ関連企業はESG投資の標的?

筆者が新入社員だったバブル末期の時代は、オフィスでたばこを吸いながら仕事をすることができた。ランチタイムや、移動の電車・飛行機内でもたばこが吸えた。もっと言えば、自動販売機で誰でもたばこが買えたので、未成年でも入手可能だった。今はほとんどどれも禁止や規制の対象である。
国立がん研究センターによると、日本の成人男性の喫煙率は、1995年は50%を超えていたが、2018年には30%を下回っている。世界的に見ても、「喫煙は健康を害する」という考えが広まっている。

世界の機関投資家が投資を見合わせている、あるいは投資資金を引き揚げていると言われる代表的な3つの産業は「(問題性のある)武器」、「化石燃料」、そして「たばこ」である。

たばこを生産する企業として有名なJT(日本たばこ産業株式会社)の株価を見てみよう。
2020年、日経平均株価は年初から20%近く上昇したのに対し、JTの株価は年初の2,400円から2,102円へと約12%下落した。
JTの株価が低迷する理由は、「たばこは健康に悪いから投資対象から外そう」という倫理的な側面もあるが、「健康志向が強まり、今後たばこ産業が衰退する」という長期トレンドが予想される中、たばこからの事業転換がうまく図れていないと評価されていることだ。

一部には、「今年流行しているESG投資家が投資資金を引き揚げただけで、今は割安だ」という意見もある。しかし、5年間という長期スパンで見ても、JTの株価は2015年の終値4,471円から5年連続で下落し、半値以下になっている。
これは企業としての投資価値を判断された結果であり、投資をする際にはESGを考慮することが必須だと筆者は考える。

JTは、日経平均にもTOPIXにも構成銘柄として採用されている。
株価平均や時価総額平均のインデックスには、必ずしも企業の投資価値(=ESG)は考慮されていない。インデックス投資はわかりやすく手数料が安い。しかし、それだけで投資として適正と言えるのか、今一度考えることが必要ではないだろうか。

オリックス銀行株式会社
役員補佐
資産運用営業部 部長
ESG投資アドバイザー

1990年代半ばより15年以上にわたりファンドマネージャーとして年金等の資産を運用。
ESG投資のグローバルリーダーであるオランダの投資顧問会社ロベコのInvestment Officerを経て、2015年より現職。オリックス銀行の投資信託事業にてESG投資に優れたファンドの選別に従事する。

コラムに関する注意事項

本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。
外部有識者の方にも本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。
本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。

eダイレクト預金口座をお持ちでない方

eダイレクト預金口座開設

投資信託のお申し込みには、eダイレクト預金口座が必要です。

eダイレクト預金口座をお持ちの方

投資信託口座開設および
ご利用開始までのお手続き