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2021年02月05日
ESG投資、7つの手法をチェック
リスクを分散させながら長い目で資産形成できる「ESG投資」が注目されていることを、前回紹介しました。私たちの大切な公的年金もESG投資で運用されていると聞くと、興味がわいてきませんか?
> 資産運用にも取り入れたい「ESG」 気になるパフォーマンスは?
ESG投資の市場規模は世界全体で約30兆ドル(3,000兆円、2018年)を超えるまで拡大し、世界全体の運用資産額の3分の1を占めています。
一口にESG投資といっても、その手法はさまざまです。どのようなものがあるのか見てみましょう。
世界のESG投資額を集計している国際団体GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)は、ESG投資を次の7つの手法に分類しています。
- ①ネガティブスクリーニング
- ESGの観点で問題のある企業を投資対象から除く手法です。たとえば武器を製造する企業や、アルコールやたばこ関係の企業などが除かれます。
- ②ポジティブスクリーニング
- ESGの評価が高い企業だけを投資対象に組み入れる手法です。たとえば、環境保護や人権問題に積極的に取り組む企業などです。
- ③国際規範スクリーニング
- ESG分野での国際的な基準をクリアしていない企業を投資対象から外す手法です。
- ④ESGインテグレーション
- 投資する企業の評価において、財務諸表に加え、必ずしも財務諸表には表れないESGへの取り組みも考慮する手法です。
- ⑤サステナビリティテーマ投資
- 「持続可能性」を謳っている、再生可能エネルギーや持続可能な農業などといった特定の分野に絞って投資する手法です。
- ⑥インパクト投資
- 社会や環境に貢献する投資先を選ぶだけでなく、その投資が社会に与える影響度(インパクト)も重視する手法です。
- ⑦エンゲージメント・議決権行使
- 株主が企業に対して対話を申し入れるなどして、ESGの観点から経営を改善してもらうよう働きかける手法です。
このようにさまざまな投資手法がありますが、国や地域によって、選ばれている手法に特徴があるんです。
たとえばヨーロッパでは、宗教上の倫理観に反する業種を除いたという歴史的背景もあり、「ネガティブスクリーニング」の割合が高い傾向です。一方、米国、カナダ、オーストラリアやニュージーランドでは、「ESGインテグレーション」が主流となっています。
日本はどうかというと、企業と長期的な対話を行う「エンゲージメント・議決権行使」と「ESGインテグレーション」がほぼ同じ割合で高くなっています。
急成長している「ESGインテグレーション」
では、それぞれの手法でどれくらい投資されているのか見てみましょう。
世界のESG投資全体の中では、「ネガティブスクリーニング」が最も多く、「ESGインテグレーション」「エンゲージメント・議決権行使」と続きます。

上のグラフでもわかるように、「ESGインテグレーション」がわずか2年間で約70%も増加し、急成長しています。
急成長の理由の一つに、大きなお金を運用している年金基金をはじめとする世界中の機関投資家が、積極的にこの手法を用いていることが挙げられます。
大きなリターンを得たいのは個人投資家もプロの投資家も一緒。もはや、資産形成を考える上でESGの視点を組み入れないことは、リスクが高いと言えるかもしれません。
資産を大きくしたいのなら、これからはぜひ、ESG投資というキーワードにアンテナを張ってみてくださいね。
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