投資家は「テーマ型」が好き?(2)

2019年10月25日

前回のコラム「投資家は「テーマ型」が好き?(1)」では、テーマ型ファンドが好まれる一方で、成績が振るわない結果に終わる理由についてお話ししました。

 

ではテーマ型ファンドはすべてだめなのでしょうか?

すべてのテーマ型ファンドがだめではない

たとえば、海外に目を向けると、次のようなファンドが存在します。

ファンドのテーマは、世界の消費の長期トレンドです。グローバル消費の視点からの長期トレンドとして、「デジタル消費」、「新興市場消費」、「強力なブランド」の3つに着目したファンドで、モーニングスター社の評価で最高の5つ星を長期にわたり受賞しています。

 

ただし、このような中長期運用を前提に分散されたテーマ型ファンドは、日本では説明が難しく販売しにくいファンドとみられ、販売されていないというのが実態です。

 

前々回までのコラムでは、資産形成において中長期の投資を前提にお話ししてきました。

一方で、前回のコラムでお話しした「旬」に投資するテーマ型ファンドへの投資は、端的に言えば、「皆よりも一足先にテーマを見つけて投資し、皆が気付いて投資する時期には売り切ってしまう」ことが重要でした。


つまり、日本で見られる「旬」のテーマ型ファンドへの投資は、中長期投資とは真逆の短期的な資産運用ということになります。

ではどちらが正解なのでしょうか?

投資家が選ぶべき「手法」とは?

実は、どちらも正解というのが私の考えです。

中長期投資も「旬」のテーマ型ファンドへの投資も、資産運用のあくまでも「手法」です。手法は当然ながら手段であり、投資の「目的」ではありません。したがって、投資目的や資産運用に対する考え方次第で、取るべき手法はさまざまであるべきです。

大切なことは、さまざまな手法の特徴やメリット・デメリットを知ること、そして自分の投資目的やリスク許容度、資産運用に対する考え方などを冷静に見つめ、自分にふさわしい手法を正しく選択することです。さらに言えば、これらの手法のどちらか一つを選ばなくてはならないわけではなく、組み合わせることもあり得ます。なぜなら投資の目的は一つではないこともあるからです。

 

それでは、どのように中長期投資と「旬」のテーマ型ファンドへの投資のような短期的な資産運用を選択すべきでしょうか。

旬を見極めるテーマ型ファンドへ投資をするには、常に世間や経済・社会の動きを見ながら、他人よりも早く「旬」を察知し、さらには「旬の波」が崩れる前に売り切ります。タイミングを誤って値段が下がると売るに売れない、いわゆる「塩漬け」になりかねません。

そんなことはできないし、時間もないと思われた方も多いのではないでしょうか。その理解は正しいでしょう。「旬」のテーマ型ファンドでの資産運用は、大変で難しい手法なのです。

一方で、この手法の真逆にあるのが中長期投資です。


世間には、資産運用に限らず、短期的にもてはやされてもすぐに廃れるものと、長く残るものがありませんか?経済の世界も同様で、短期的な成長と中長期的な成長があります。長く残るものは普遍的であり、ある意味安定的で、このような資産運用が中長期投資です。こちらは常に目を配る必要もないため、「旬」のテーマ型ファンドへの投資のような難しさはなく、いわば大きな「波」に身を委ねるようなものです。中長期投資は、多くの人にとって取り組みやすい手法なのです。

最近盛んに中長期の分散投資が推奨されますが、それにはこのような背景もあるからでしょう。

日本で中長期投資が受け入れられにくい理由

しかし、日本は、前回のコラム(投資家は「テーマ型」が好き?(1))でお話しした7つの傾向に象徴されるように、一般的に中長期投資に適した商品が受け入れられにくい風土といえます。



中長期投資に適したファンドは、「旬」のテーマ型ファンドと比べて、次の特徴を挙げられます。

 

(1)必ずしもわかりやすくない

短期的なインパクトに乏しく、必ずしもわかりやすくはありません。

(2)販売しやすくはない

お客さまにとってわかりやすくないため、販売員にとっても販売しやすいとはいえません。当然、回転売買には適していません。

(3)分散している

普遍的であるため、特定のテーマではなく、広く分散されています。

 

加えて、分散投資の中でも特に重要なコンセプトが「時間分散」です。中長期の資産運用であっても、短期的な時代の波にはさらされるため、時間を分散して複数回に分けて購入することは非常に大切です。

しかし、売り買いのタイミングが重要な「旬」のテーマ型ファンドへの投資では、この「時間分散」も行いづらいといえます。

 

今回は前回のコラムに引き続き、テーマ型ファンドや資産運用について、さらに中長期の資産運用との違いについて考察しました。「旬」のテーマ型ファンドはわかりやすいゆえに、取り組みやすいように思えますが、実は難しいということがおわかりいただけたでしょうか。間違った姿勢で取り組むと大切な資産が「塩漬け」にもなりかねません。

 

何事にも通じますが、「わかりやすい、おいしい話」は、一度立ち止まってひと呼吸おいてから検討するべきでしょう。

プロフィール

清水 暁(しみず あきら)

清水 暁(しみず あきら)
明日クリエーション株式会社 代表取締役社長
ファイナンシャルプランナー

住友信託銀行、JPモルガン・アセットマネジメント等を経て、講師として独立し、自身の会社として明日クリエーション株式会社を設立。住友信託銀行では、マーケット部門でデリバティブディーラーや市場部門のミドルオフィス設立やプライベートバンキング部門設立、確定拠出年金部長や渋谷支店長他を歴任。現在は、FP協会のCFP・AFP向けプロフェッショナル研修をはじめ、資産運用・相続関連やファイナンシャルプラン、支店長・課長向けマネジメント等に関する研修講師として全国各地で講演を行っている。

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