常識を疑おう(実践編2)

2019年6月13日

「常識を疑おう」の実践編の第2弾です。
今回も、実際のデータを見ながら、「常識」を検証していきたいと思います。今回検証する常識は、“アクティブファンドは、インデックスファンドには勝てない“という常識です。

ある時期に人気を博したアクティブファンドに投資をし、一時は運用が好調であったもののその後運用成績が芳しくなくなり、結果、運用に失敗したという話は良く聞きます。最近でも、IT系ファンドの解約が相次ぐという記事がありました。「このファンドは、昨年(2018年)、EVやロボット関連の企業を投資対象として人気を博したが、運用成績が芳しくないため解約が相次いでいる」という記事内容でした。
こうした記事などから、「やはりアクティブファンドは良くない、インデックスの方が優れている」、という声が聞こえてきそうです。しかしながら、実はこうした記事で扱われるファンドの多くは「テーマ型」と言われる部類の投資信託であり、アクティブ型の投資信託の全てを指しているわけではありません。特に、テーマ型のファンドの場合は、テーマがピークの割高な局面で購入されることが多く、失敗となる可能性も高くなります。必ずしもアクティブファンドの全てがインデックスファンドに勝てないということではないということを、日本株式ファンドに関するデータで検証してみたいと思います。

まずは、過去3年(2016年5月~2019年4月)のデータを見てみましょう。モーニングスターによると、この期間に運用の実績がある日本株式ファンド(ETF、DC専用、SMA専用を除く)は602本あります。この602本におけるインデックスファンドの位置付けを見てみましょう。

指標 指標のリターン
(配当込み)
インデックスファンドで
最高パフォーマンスのファンドのリターン
左ファンド
602ファンド中の順位
TOPIX 年率8.84% 年率8.66% 279位
日経平均 年率12.3% 年率12.07% 90位

TOPIX型のインデックスファンドは、602ファンド中279位ですから、これを上回るパフォーマンスを上げたファンドが278ファンド(シェア46.2%)あることになります。
同様に日経平均型のインデックスファンドは、602ファンド中の90位であり、89ファンドがそのパフォーマンスを上回っているのです(シェア14.8%)。

では、次に同期間の運用成績分布を見てみましょう。縦軸を運用成績(年率)、横軸をリスク(標準偏差)としたのが下のグラフです。
最大のリターンのファンドは年率31.63%、最低のリターンのファンドは年率▲8.0%です。リターンは年率ですから、最大のリターンのファンドは3年間で2.28倍になった一方、最低のリターンのファンドは、3年間で22.13%下落したことになります。
グラフを見てみるとリスクが大きくなればなるほど扇の形が広がっており、リターンにばらつきがあることが分かります。すなわち、インデックスよりリスクを取り、成果として高いリターンを上げる優秀なファンドがある一方、リスクを取って運用がうまくいかずリターンが低くなったファンドも存在していることが分かります。

運用成績(年率)とリスク(標準偏差)の運用成績分布のグラフ

この期間の運用成績の良いファンドの傾向を見てみると、中小型株への積極的に投資を行っているファンドが目立ちます。一方、運用成績がマイナスのファンドの傾向は、ブラジルレアル建てのファンドが目立ちます。一時期流行ったブラジルレアル建てにして金利を高く取る戦略のファンドですが、為替の大幅下落がパフォーマンスにマイナスの影響を与えています。

別の角度からデータを見てみましょう。運用成績(年率)と信託報酬の関連を見たのが、次のグラフです。

運用成績(年率)と信託報酬の関連のグラフ

このグラフから分かることは、パフォーマンスの良いファンドが信託報酬率も高い傾向にあるということです。信託報酬率の低さだけでファンドを選んだ場合、パフォーマンスの良いファンドは選択の対象から外れることになります。

過去3年では期間が短い、もっと長い期間だとどうなるのか?という声もお聞きしましたので、過去5年(2014年5月~2019年4月)、過去10年(2009年5月~2019年4月)の結果もお示しします。ただし、これらの結果は、残存者バイアスがある可能性があるのでご注意ください。残存者バイアスとは、運用成績の良くないファンドは途中で償還になってしまい、長期の運用期間があるファンドは運用成績が良いものに偏ってしまうというものです。

【過去5年(対象ファンド519本)】

指標 指標のリターン
(配当込み)
インデックスファンドで
最高パフォーマンスのファンドのリターン
左ファンド
519ファンド中の順位
TOPIX 年率9.12% 年率8.87% 236位
日経平均 年率11.31% 年率11.39% 113位

【過去10年(対象ファンド331本)】

指標 指標のリターン
(配当込み)
インデックスファンドで
最高パフォーマンスのファンドのリターン
左ファンド
331ファンド中の順位
TOPIX 年率9.05% 年率8.65% 222位
日経平均 年率11.74% 年率11.45% 75位

TOPIX型インデックスファンドを上回ったファンドは、過去5年データで235本(45.3%)、過去10年データで221本(66.8%)となります。
日経平均型インデックスファンドのパフォーマンスを上回ったファンド数は、過去5年データで112本(21.9%)、過去10年データで74本(22.4%)となります。

これらのデータからは長期間であっても、アクティブファンドがインデックスファンドに勝てなくなるという傾向は見られないことがおわかり頂けると思います。
日本株に関するこれらの結果から導き出せることは、TOPIXと日経平均でもパフォーマンスにかなり開きがあること、また日本株を投資対象とする場合に、TOPIXは投資に値するインデックスなのかということを考えてみる必要性があるということです。
インデックスファンドが無条件にアクティブ型ファンドよりも優れているという常識には、注意しておいたほうがいいということがお分かりいただけたでしょうか?

プロフィール

清水 暁(しみず あきら)

清水 暁(しみず あきら)
明日クリエーション株式会社 代表取締役社長
ファイナンシャルプランナー

住友信託銀行、JPモルガン・アセットマネジメント等を経て、講師として独立し、自身の会社として明日クリエーション株式会社を設立。住友信託銀行では、マーケット部門でデリバティブディーラーや市場部門のミドルオフィス設立やプライベートバンキング部門設立、確定拠出年金部長や渋谷支店長他を歴任。現在は、FP協会のCFP・AFP向けプロフェッショナル研修をはじめ、資産運用・相続関連やファイナンシャルプラン、支店長・課長向けマネジメント等に関する研修講師として全国各地で講演を行っている。

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