常識を疑おう(2)

2019年4月15日

常識を疑おう(1)に引き続き、常識その4、常識その5を解説します。

(常識1~3については、常識を疑おう(1)をご覧ください。)
常識その4 投資のコツは複利効果!分配金を多く出すファンドに投資してはいけない。
常識その5 投資はリスクが付きものであり危険、投資信託もしないほうがいい。

常識その4 投資のコツは複利効果!分配金を多く出すファンドに投資してはいけない。

分配金が多く支払われるファンドは、複利効果がなくなるので運用には不向き、という「常識」もよく聞きます。しかし、これも、成立するには重要な前提条件ありきの常識です。

それは、投資する市場の相場が継続的に将来的にも上昇する、という条件です。上昇局面においては、分配金に回す資産は再運用の複利効果により増加します。しかし、下落局面では、分配金に回す資産は再運用で減少するので、分配金で確実に利益を確保した方がいいのです。

これは、しばらくの間一定水準内で変動を繰り返す、いわゆるボックス圏相場においても同様です。ボックス圏の上限近くで分配金が支払われるファンドなら、その後は下落に転じるため、分配金を受け取る方が得になります。

つまり、この常識が成立する為の、複利効果が力を発揮するのは、継続的な相場上昇が前提条件ということです。「常識その3」でお話したとおり、日本の投資家にとって、バブル崩壊後は、中長期の資産運用において困難な状態が長い間続きました。日本の株式市場は低迷し続け、それではと海外資産に投資をすると円高で損をしてしまうという八方ふさがりの状況です。少し相場が上がったと思って保有を継続していると、結局その後下落してしまい元のもくあみ、やはり解約しておけばよかったと後悔の日々を過ごしてきたのです。そのような状況下では、「儲かったら分配金をもらっておく」のは、ある意味、理にかなった投資だったのです。

また、「複利効果」で考慮すべきことの1つは、資産運用の目的です。一般的に、若い世代においては、将来のために資産を増やすことが資産運用の目的です。現役世代ですから、給与収入等の仕事によるインカムゲインもあり、「複利効果」を重視するのは、もっともな運用戦略です。

しかし、それよりも上の、年金世代の資産運用の目的は何でしょうか。頼れない、先細りの年金を唯一の収入とし、資産を取り崩しながら暮らしている世代です。資産や年齢に余裕があれば、将来に向けて「複利効果」を利用するという考えもあるかもしれませんが、「生活資金の一部補てん」という方も多いと思います。その場合には、「複利効果」よりも、支払われる分配金を有効活用するほうが、運用目的にマッチします。

念のために申し上げますが、決して、インデックスファンドの利用も、複利効果のメリットも、否定しているものではありません。ただし、インデックスファンドも複利効果も、資産運用の「手段」や「手法」の1つであり、それが絶対ではありません。自分自身の「資産運用の目的」をしっかりと認識して、それにあった「手段」や「手法」を選択することの大切さをお伝えしたいのです。

常識その5 投資はリスクが付きものであり危険、投資信託もしないほうがいい。

日本では、投資信託での資産運用は、元本割れリスクがある、危険かつ損をするから預貯金しかしない、という方が多いようです。iDeCoも人気があるそうですが、定期預金など元本保証型の商品を選択している方が多いのが実態です。
ここで考えたいのは、「リスクとは何か?」ということです。
たとえば、皆がうらやむような大富豪でも資産運用をしています。その目的は、資産を増加させることではなく、インフレになって資産が減少してしまうかもしれない、その「リスク」に対処することです。

もちろん、資産運用にも運用の不透明性に関わるリスクはあります。しかし、リスクは資産運用だけではありません。私たちの生活基盤・経済的基盤そのものが、さまざまなリスクに囲まれています。大切なのは、一番備えなければならないリスクは何か、リスクを取らない場合に抱えることになるリスクは何か、コントロールが可能なリスクは何か、コントロールできないリスクは何か、を考えることです。そのうえで、自分がどのリスクを取り、どのリスクを避けるのか、自身で判断することです。

「資産運用のリスクを取らない」ことは、「安全な生活を守ること」にはなりません。資産運用のリスクをとらないままの現在の生活に、リスクは潜んでいないでしょうか。

もし、インフレになったら?
もし、収入が思うように増えなかったら?
もし、退職時までに思うような老後に必要なだけの資産が築けなかったら?
もし、年金の金額が思ったよりも少なかったら?
もし、思ったよりも長生きしてしまったら?
あなたが「取れるリスク」、「取りたくないリスク」は何でしょうか?

資産運用は難しいと思われるかもしれません。が、すこし勉強すれば決して難しいものではありません。資産運用に限らず、はじめて何かに取り組む前には自分で調べてみますよね?それと同じで、何事も勉強なしに取り組むのはそれこそリスクです。

まずは資産運用についても、先人の知恵を学びましょう。そして、今回お話ししたように、さまざまな「常識」にとらわれ過ぎずに、自分なりの尺度も取り入れて考えてみてください。

プロフィール

清水 暁 氏(しみず あきら)
明日クリエーション株式会社  代表取締役社長 

住友信託銀行、JPモルガン・アセットマネジメント等を経て、講師として独立し、自身の会社として明日クリエーション株式会社を設立。住友信託銀行では、マーケット部門でデリバティブディーラーや市場部門のミドルオフィス設立やプライベートバンキング部門設立、確定拠出年金部長や渋谷支店長他を歴任。現在は、FP協会のCFP・AFP向けプロフェッショナル研修をはじめ、資産運用・相続関連やファイナンシャルプラン、支店長・課長向けマネジメント等に関する研修講師として全国各地で講演を行っている。

eダイレクト預金口座をお持ちでない方

eダイレクト預金口座開設

投資信託のお申し込みには、eダイレクト預金口座が必要です。

eダイレクト預金口座をお持ちの方

投資信託口座開設および
ご利用開始までのお手続き

投資信託TOP