知られざる年金の真実 

2018年10月26日

「イデコ」という言葉をよく耳にするようになりました。「iDeCo(イデコ)」は、「個人型確定拠出年金」の愛称ですが、みなさまはその内容について詳しくご存知でしょうか?そもそも、年金制度は難しくて、何度説明を聞いても分からない、難しいと思っている方も少なくないのではないでしょうか。

みなさんは、年金についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
会社員の方は、厚生年金や厚生年金基金、自営業や主婦の方は国民年金が、真っ先に浮かぶと思います。

最近は「企業型確定拠出年金」(以下「DC年金」という。)とか「個人型確定拠出年金」(iDeCo)が出てきたり、会社員の方でも、実は自動的に国民年金に入っていると言われたりと、自身の老後の年金額についてさっぱりわからなくて不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

加えて、このようになってしまった事情が知らされず、国民の老後リスクが一段と高まっているという事実はどこまで共有されているのでしょうか。

昔は、老後のことは、国や企業がちゃんと考えてくれて公的年金があるから、言われる通り支払っておけば大丈夫という認識が一般的でした。それが今では、自分で備えなければ、豊かな老後どころか、最低水準の老後さえ危ないという状況に至っています。

DC年金とかiDeCoの特徴は、従業員や加入者が、自分で資産運用する点にあります。厚生年金や厚生年金基金や通常の企業年金は、国や企業が年金資産を運用しています。
それでは、そもそも、なぜDC年金とかiDeCoなど、自分で年金資産を運用しなければならなくなったのでしょうか。

1960年代、国の年金制度に上乗せする年金制度として税制適格退職年金や厚生年金基金が創設されました。これが、いわゆる企業年金です。当初は、これら年金の運用予定利率は概ね5.5%に設定されていたものの、実際の運用成果は、市場金利が高くかつ株式市場が堅調であったことから、運用予定利率を大幅に上回っていました。運用予定利率を上回った差益を利用して、基金の保養所を建設していたところも多くありました。
しかし、バブル崩壊や市場金利の低下に伴い、運用予定利率で運用できない状態となり積立不足が発生、企業は追加負担が必要になるなどの事象が発生しました。加えて、2000年の企業の会計制度変更により、将来支払う予定の年金債務に不足が生じた場合、負債として会計に反映しなければならなくなり、体力が弱い企業は制度維持が困難になりました。

さらに追い討ちをかけたのが、2012年の投資顧問会社の詐欺による年金消失事件(いわゆるAIJ事件)です。この事件を発端に、相当の健全性がある厚生年金基金以外は解散させる法律改正が2013年に成立し、多くの厚生年金基金が解散又は解散予定に追い込まれました。これは、一部に官僚の責任逃れと相当批判を受けており、特に弱者である中小企業の従業員の年金が犠牲になったともいわれています。

このような運用環境の変化や制度の変更により、国や企業のみでは手に負えなくなった年金運用を託されたのが我々個人であり、現在推奨されているのが、企業型確定拠出年金(DC年金)とか個人型確定拠出年金(iDeCo)などです。今までとの一番の違いは、これまでは、待っていれば老後に決まった額の年金をもらえたのが、お金を渡すから自分で運用してねというものです。

すなわち、しっかり運用しないと年金は足りないのです。預金で運用しているだけでは、それは実現できません。そもそも預金で運用し十分な年金が確保できるのであれば、国や企業は引き続き制度を維持できたはずです。
 “「そんな話聞いてない!」”と思われた方も少なくはないのではないでしょうか。

プロフィール

清水 暁 氏(しみず あきら)
明日クリエーション株式会社  代表取締役社長 

住友信託銀行、JPモルガン・アセットマネジメント等を経て、講師として独立し、自身の会社として明日クリエーション株式会社を設立。住友信託銀行では、マーケット部門でデリバティブディーラーや市場部門のミドルオフィス設立やプライベートバンキング部門設立、確定拠出年金部長や渋谷支店長他を歴任。現在は、FP協会のCFP・AFP向けプロフェッショナル研修をはじめ、資産運用・相続関連やファイナンシャルプラン、支店長・課長向けマネジメント等に関する研修講師として全国各地で講演を行っている。

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