コラム

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掲載日
2022.6.22

景気後退を示唆?!
資産運用、2つのシグナルに注目を

Writer

株式会社ZUU

(画像=PIXTA)

いま、世界経済は景気後退の懸念を抱えている。ロシア・ウクライナ情勢の悪化に伴い、それ以前から続いていたインフレがさらに加速した他、欧米各国で金融引き締めも始まったからだ。一般的に資産運用にとって景気悪化はマイナスだ。その始まりを示唆するといわれている2つのシグナルを紹介する。

景気後退の懸念が高まっている2つの理由

なぜいま、景気後退の懸念が高まっているのか、その理由は主に2つある。

止まらないインフレ

冒頭でも触れたが、いまインフレ率(物価上昇率)の上昇に頭を悩ませている国が多い。通常、数%程度のインフレはその国の経済にとってプラスに働くと考えられているが、想定を超えるインフレは経済の冷え込みにつながる。消費者の購買意欲が低くなるからだ。

例えばアメリカでは、中央銀行に相当する「FRB(連邦準備制度理事会)」が2%を少し上回るインフレ率を政策目標としている。しかし、インフレ率を示す「消費者物価指数(CPI)」の上昇率は、2022年2月は前年同月比で7.9%となった。40年ぶりの高い水準だ。

ちなみにアメリカにおける消費者物価指数の上昇率は、2017~2019年は平均2.1%、2020~2021年の平均は4.2%となっており、いかに現在のインフレ率が高いか分かっていただけるかと思う。

欧米で金融引き締めがスタート

アメリカや欧州では金融引き締め策の一環として、政策金利の「利上げ」がすでに始まっている。

欧米各国は新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退を防ぐため、これまで金融緩和を行ってきた。しかし、コロナ禍が収束に向かうという見通しを立て、金融引き締めに動き出したというわけだ。

通常、政策金利の利上げは景気上昇を抑制する。政策金利を上げると、企業や個人が銀行から融資を受ける際の金利も上がる仕組みになっているからだ。そのため、企業は設備投資を減らし、個々人の消費行動も消極的になる。

景気後退の前兆だといわれている2つのシグナルとは?

こうした要因がある中、ロシア・ウクライナ情勢の不透明感がさらに増せば、景気後退に対する懸念はさらに高まるはずだ。株式投資などでの資産運用においても、景気後退はマイナスに働く。通常、景気後退は相場の下落につながるからだ。

このような状況下で、気にしたい「シグナル」が2つある。点灯すれば景気後退の前兆だといわれているシグナルだ。

1.逆イールド

逆イールドとは、債券市場において「短期金利」の水準が「長期金利」の水準を上回る状態のことを指す。これが景気後退の前兆として考えられる理由は、市場の参加者が景気後退を予測し、株式などの資産よりリスクが低い債券が買われるからだろう。特に長期金利は市場の影響を受けやすいため、短期金利よりも低くなりやすい。

過去、景気後退が起きる前に逆イールドが起きており、逆イールドが起きたときから数えると、1~2年後に景気後退が起きているパターンが多い。

例えば、2001年前半からITバブルの崩壊に伴う景気後退や、2008年のリーマンショックの前にも逆イールドが起きている。景気後退が起きることを、逆イールドはかなり高い確率で示唆している。

今年に入って景気後退の懸念が高まる中、アメリカでは徐々に長期金利と短期金利の差が縮まり、逆イールドが発生する可能性が高まっていた。そしてついに3月29日、2年債の金利が10年債の金利を2.39%付近で上回った。

逆イールドの発生を判別する際、2年債の金利は短期金利の水準として、10年債の金利は長期金利の水準として採用されることが多い。つまり、すでに逆イールドが発生しているわけだ。

2.炭鉱のカナリア

「炭鉱のカナリア」という言葉をご存じだろうか。炭鉱で有毒なガスが発生した際、人よりも先にカナリアがその発生を察知することから、炭鉱で働く人はカナリアをカゴに入れて連れていた。こうした炭鉱労働者の行動から生まれた言葉だ。

そしてこの言葉は、株式投資の世界でも用いられている。投資の世界におけるカナリアは「低格付け債」(ハイ・イールド債)を指し、信用度が高い国債の利回りと信用度が低い低格付け債の差(スプレッド)が広がると、景気後退の懸念が高まるとされている。

景気後退が予測されると、低格付け債はデフォルトリスクが高まるため利回りが跳ね上がる。その結果、国債との利回りの差が拡大するため、景気後退の前兆として用いられる。

そしてすでにこのスプレッドはかなり開いている。2021年12月末、アメリカの低格付け債と国債の利回りのスプレッドは3.10%だったが、2022年3月1日時点でスプレッドは3.89%まで開いた。

現金比率を高めることを検討する時期が来ている

このように、景気後退が起きる可能性はかなり高まっている。ちなみに景気後退の発生タイミングの判定に関しては全米経済研究所が発表を行うが、景気後退が起きたあとに後追いで発表されるため、同研究所の発表を待っていては景気後退を避けることができない。

そのため、景気後退による相場の下落で資産価値が目減りするのを防ぐためには、景気後退の懸念が高まった段階で何らかの対策を打つ必要がある。例えば、株式を全て現金化しておけば、直接的には株式相場の下落の影響を受けない。

景気の後退が始まる時期を正確に予測するのは不可能ではあるが、徐々に運用している資産の現金比率を高めることなど、具体的な対策を検討する時期に来ているといえるのではないだろうか。

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株式会社ZUU

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