コラム

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掲載日
2022.6.9

ETF(上場投資信託)を保有するなら知っておきたい暴落したARKファンドの行方

Writer

株式会社ZUU

(画像=PIXTA)

コロナ禍に急成長を遂げたファンドがある。「破壊的イノベーション」をもたらす企業への投資に特化した米資産運用会社、「ARK(アーク)」だ。

しかし、2021年は「最悪のパフォーマンスを記録したファンドのひとつ」となり、2022年4月現在も苦戦は続いている。

ARKファンドの暴落から、ETF(上場投資信託)を保有する上で知っておくべきグロース株のリスクや将来性について考察する。

コロナ禍で大流行したファンド「ARK」とは?

ARK Investment Management(アーク・インベスト・マネージメント)は、2014年にフロリダで設立された資産運用会社だ。長期的な資本の成長を目標に、「ハイパーグロース株(主に成長率が前年比40%以上の企業)」に比重を置いた運用を行っている。

「破壊的イノベーション」とは、世界の仕組みを変える可能性のある技術や商品・サービスを指す。その定義は広範囲にわたるが、ARK はDNAテクノロジーやゲノム技術、自動化、ロボット、エネルギー貯蔵、AI(人工知能)、次世代インターネット、FinTech(フィンテック)を、「破壊的イノベーション」の分野として挙げている。

「圧倒的な成長力」で市場を制した2020年

ARKのETFが一躍注目を浴びた理由は、その圧倒的な成長力だ。

同社は現在、6つのアクティブ運用型ETFと3つのパッシブ運用型(インデックス)ETFを運営している。

主力の「ARKイノベーションETF(ARKK)」は、電気自動車(EV)メーカーのTeslaやスウェーデンの音楽ストリーミング・Spotify(スポティファイ)、米遠隔医療システムサービスのTeladoc Health(テラドックヘルス)など、国内外のハイパーグロース株に運用資産の65%以上を投資することにより、高リターンを狙う仕組みになっている。

コロナ禍の2020年、S&P 500の上昇率が18%だったのに対し、ARKKは153%という驚異的な数字を叩き出した。さらに設立された2014年10月から2021年初旬までの上昇率は500%以上と、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイのA株の6倍を上回る伸びを見せた。

称賛浴びた創業者は「時の人」から転落 2022年も苦戦続く

ARKとともに注目を集めたのは、創業者キャシー・ウッド氏だ。

高リスクのグロース株に積極的に投資することで大成功を収めた、数少ない女性投資ファンドマネージャーとして、「株式投資界のロックスター」「天才投資家」など数々の異名をとり、瞬く間に時の人となった。

しかし、ウッド氏の幸運はそう長く続かなかった。2021年2月中旬をピークに、いずれのファンドも急降下し始めたのだ。引き金となったのは、主力ハイテク株の利益確定売り(含み益が生じたところで売却して利益を確定させること)と、米長期金利の上昇だ。市場にリスクオフ空気が広がり、グロース株からバリュー株へのローテーションが急速に進んだ。

2022年も状況は改善せず、2月28日の時点で、ARKK の過去1年間のリターン率は25.50%減少した。「ARK 自動運転車・ロボティックスETF(ARKQ)」「ARK 次世代インターネットETF(ARKW)」などの全ファンドが、2桁台の落ち込みを見せた。

さらに4月にはモーニングスターの投資調査部門がARKのリスク管理能力への懸念を理由に、ファンドの格付けを ニュートラルからネガティブに引き下げた。

ARK系投資信託の今後は?

ARKの失速は、高度な成長が見込めるグロース株への過剰投資が、予想以上の裏目に出た典型例といえる。市場においてはインフレに伴う追加利上げなどを理由に、当面は苦しい状況が続くとの見方が強い。

しかし、ウッド氏が指摘するように「このローテーションにより強気相場が大幅に拡大・強化されたことでITバブルの再来が回避され、イノベーション関連投資戦略のさらなる飛躍に向けた舞台が整った」とポジティブに受けとめることもできる。

同氏はARKの構成銘柄について、潜在力に比べて過小評価されているテクノロジー銘柄を組み入れた「ディープバリュー(超割安)」だと主張しており、「破壊的イノベーションが従来の世界秩序を打ち壊していくのであれば、既存のバリュー株にこそリスクがある」と強調している。

同氏がいわんとしていることは、投資で大切なことは足元のパフォーマンスではなく、中長期的な視点だということだ。短期的なパフォーマンスだけを重視すると、真のイノベーションを起こし、中長期で大きな成長を遂げる銘柄を見逃してしまうリスクがある。

グロース株が下落しているからといって「リスクが高いだけで将来性は期待できない」と判断するのではなく「5年後、10年後にどこまで成長しているのか」という観点をもつことが重要だ。

日本からもARKのETFに投資できる?

ここまで読んで、「中長期的な観点からARKのファンドに投資してみたい」と考える人もいるだろう。

残念ながら、ARKのETFは海外の証券口座を介して購入する必要があるため、日本在住者にはハードルが高い。

しかし、CFDを通じて取引できる日本の証券会社がある。CFDとは「差金決済取引」という意味で、現物資産を取引するのではなく、差額だけでやり取りする投資方法だ。ただし、株式投資や投資信託で利用できる特定口座がCFDにはないため、確定申告を行う必要があるという点には注意しよう。

「企業の成長力」に注視

投資市場はさまざまな要因から影響を受ける。ウッド氏の予想通り、イノベーションがリスクオフに打ち勝ち、グロース株の快進撃が再び始まる可能性も十分に考えられる。今後は「企業の成長力」に注視することが、大きなチャンスにつながるだろう。

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株式会社ZUU

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