コラム
掲載日
2022.2.27

世界で盛り上がる「Qコマース」!日本でも定着する?

Writer

株式会社ZUU

(画像=PIXTA)

オンラインショッピングにおける新たな形態として、「注文から配達まで30分以内」を謳い文句にする「Qコマース」が世界各地で盛り上がりを見せている。

日本国内においても一部の地域でサービスが開始されたが、本格的に定着する可能性はあるのだろうか。

Qコマースとは?

コロナ禍で俄かに脚光を浴びているQコマースは、「Quick Commerce=迅速な商業」という言葉通り、「配達の速さ」を売りにしている。

オンラインで取引・決済を行う「eコマース(Electric Commerce)」の配達が通常1日~数日を要するのに対し、Qコマースは注文してから最短10分、平均30~60分以内に商品が届く。配達料も低価格帯のものが多く、少量の注文から気軽に利用できる点が特徴だ。

低コスト・迅速なサービスの秘密はローカライズ(地域特化)にある。サービスエリア内の店舗、あるいは「ダークストア」と呼ばれる配達専用の店舗・倉庫などから、自社あるいは委託先の配達員が顧客へ直接商品を配達することで、大幅なコストと時間の削減を実現した。

Qコマースの歴史は1990年後半に遡る。先駆けとなった米Kozmo.com(コズモコム)を筆頭に、Amazonがプライム会員向けに2007年にスタートした最短2時間の宅配サービス「Prime Now」や、2013年にロンドンでサービスを開始したフードデリバリーサービス「Deliveroo(デリバールー)」など、さまざまな小売業者が利便性と配達スピードを追求し、飛躍的な成長を遂げた。

特に欧米のオンライングローサリー市場はQコマースの台頭と生活様式の変化を背景に、コロナ禍以前から拡大傾向にあったところ、新型コロナの感染拡大により潮流が加速した。外出制限や3密(密閉・密集・密接)を回避策として、デリバリーの利用者が急増し、さらに「食品だけではなく、生活に必要な商品を可能な限り短時間で届けてほしい」という消費者の声が、Qコマース競争の激化を後押しした。

米Qコマース市場 約3兆円規模に成長

米市場調査企業Coresight Researchはこのような背景から、2021年の米国のQコマース市場が200億~250億ドル(約2兆3,225億~2兆9,031億円)に達すると予想している。

Qコマースを盛り上げているのは、斬新なアイデアと先端テクノロジーに精通したスタートアップの存在だ。

米Qコマース市場をリードするフィラデルフィアのスタートアップ・Gopuff(ゴーパフ)は設立わずか8年で、国内1,000都市以上でサービスを展開するユニコーン企業へと急成長を遂げた。サービスエリア内に配置した倉庫から、全国一律1.95ドル(約226円)で生活必需品(食品・日用品・市販薬など)を消費者の元へと30分以内に配達する。さしずめ宅配版コンビニといったところだ。

また、AI(人工知能)ソフトを活用して在庫状況や配達ルート、マーケティングを最適化することで利益の最大化を図ると同時に、競合との差別化を狙っている。2021年5月には米配車アプリUberと資本提携を発表し、フードデリバリーUber Eatsを介して自社商品を配達するサービスを開始した。地元レストランで調理された出来たての料理と一緒に、生活必需品を届けてもらうことができるというわけだ。

同社は2021年12月までに、ソフトバンク・ヴィジョンやフィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチカンパニーなどから総額34億ドル(約3,938億943万円)の出資を受けており、欧州にも進出を果たしている。

欧州、インドなどでもスタートアップ勢が健闘

欧州においては、2020年のオンライングローサリー市場の成長率が前年の5倍以上の55%を記録した。スウェーデンや英国、スペイン、イタリアでは60%を上回り、今後さらなる成長が期待されている。

代表的なQコマースは、評価額10億ドル(約1158億2,835万円)を誇る欧州初のQコマースユニコーン・独Gorillas(ゴリラズ)、日本にも進出を果たした独フードデリバリー・Delivery Hero(デリバリーヒーロー)の傘下ブランドであるfoodpanda(フードパンダ)、設立1年で総額1億ドル(約115億8,283万円)を調達した英Zapp(ザップ)などだ。

中東および北アフリカ(MENA)市場も活発化しており、2024年までに米国と同等の規模に成長すると予想されている。インド市場は、ソフトバンクが出資するBlinkit(ブリンキスト/旧Grofers)や、わずか2カ月で評価額が2倍以上の5億7,000万ドル(約660億5,535万円)に拡大したZepto(ゼプト)などがリードしている。

日本におけるQコマースの動向

2021年は日本のQコマース元年となった。現在は、前述のfoodpandaのほか、フィンランド発のWolt(ウォルト)、国内初のQコマース、OniGo(オニゴー)がサービスを展開している。

スタートアップに対抗すべく、競合との提携を通してQコマース分野を強化する大手も目立つ。例えば、Amazonは大手スーパー・ライフと提携し、最短2時間で生鮮食料品などを宅配する「当日便」を強化。ローソンはコンビニメニューや医薬品などを、Uber Eatsで配達するサービスを開始した。

現時点におけるサービスエリアは限られているものの、今後需要が高まるにつれ全国展開が期待される。

Qコマースは根付くのか?

品揃えや商品の価格面では大手ネットスーパーやeコマースマーケットプレイスの足元に及ばないものの、Qコマースには「気軽に利用できる」「今すぐ欲しい!が叶う」といった利点がある。

そのような観点から考察すると「いかにして大手と差別化できるか」が、Qコマース市場の成長のカギを握っているものと推測される。競争の激化に伴い新たなQコマースサービスが生まれるなど、Qコマースならではの付加価値を創造することで、独自の位置づけを確立していくのではないだろうか。

「自宅にいながら必要なモノがすぐ届く」がニューノーマルに?

消費の手段が実店舗からオンラインへと移行しつつある現在、小売産業は新たな課題の対応に迫られている。Qコマースの台頭は、コロナ禍で生じた変化の一つといえるだろう。消費者にとっては、「自宅から一歩も出ずに、必要なモノが全て30分以内に届く」という生活が現実となりつつある。

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株式会社ZUU

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