コラム
掲載日
2022.2.27

「6G」の世界はいつやってくる?日本政府が研究開発に補助金

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株式会社ZUU

(画像=PIXTA)

世界で5G(第5世代移動通信システム)の普及が進む中、すでに次世代通信規格「6G」技術の実現に向けた開発競争が加速している。ポスト5Gとして注目される「6G」の実現は、それほど遠い未来ではなさそうだ。

1G~5G、発展の歩み

アナログ無線から1G(第1世代移動通信システム)への移行がスタートしたのは、1980年代のことだった。しかし、ワイヤレスとはいうものの、アナログ電波を利用した自動車電話やショルダーフォンが主流だったため、通信の質は今とは比べ物にならないほど不安定だった。

1993年に登場した2Gではデジタル方式を採用することにより、携帯電話のデータ通信でメールやインターネットが利用可能となった。2001年に導入された3Gを機に、国際通信連合(ITU)による高速通信の国際規格が設けられ、海外でも同じ携帯電話を使用できるようになった。また、通信速度と容量が著しく向上したことにより、動画・音声配信が進化した。

3Gから4Gへ移行する中間技術として登場したのが、「LTE(Long Term Evolution)」だ。データ通信に特化し、高速化・低延滞・多数同時接続を視野に入れて開発された初の移動通信技術となった。

スマホ対応世代となった4Gは、通信速度が100Mbps~1Gbpsまで引き上げられた。これらの特徴をさらに高度化させたものが、「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」と3拍子揃った5Gである。4Gと比較すると10倍の通信速度と精度、接続可能な機器数は30~40倍を誇る。

スマート家電から医療機器、工場作業の自動化、自動運転車に欠かせないIoT(モノのインターネット)技術が、社会の新たなインフラを構築しつつある現在、5Gの普及は重要なカギを握っている。VR・AR・MR(仮想現実・拡張現実・複合現実)といった最新技術にも難なく対応できるため、今後活用幅が広がると期待されている。

「6G」の強みとは?

しかし、5Gの普及でネットワークへのアクセスがさらに増加すると想定した場合、より進化した移動通信システムが必要となるのは時間の問題だ。グローバルモバイルサプライヤー協会のデータによると、商用5Gの導入率は2021年6月の時点で58カ国とおよそ1年間で20カ国増え、今後もさらに加速すると予想されている。

このような将来の需要を見越して、世界各国で6Gの開発が進められている。核となるのは「超カバレッジ(範囲)拡張」と呼ばれる新技術だ。成層圏で通信基地局の役割を果たす無人機体、高高度基盤ステーション(HAPS/High Altitude Platform Station)や衛星通信の進化により、従来の移動通信サービスの提供が困難な地域や、海、空、宇宙へも、安定した接続環境を構築することが可能になるという。

「超多接続」化も6Gの特徴のひとつで、5Gでは同時接続数が1平方キロメートルにつき約100万台のところ、6Gでは1,000万台を目指す。また、最高伝達速度は10Gbpsから100Gbpsへ、低延滞は1mm秒程度まで向上すると期待されている。これにより、時間や距離の壁を越えたよりリアルな遠隔コミュニケーションが実現する。

また、通信エリア内で自動的に充電される「ワイヤレス給電システム」の研究・開発が進められているなど、通信を取り巻く環境が大きく変貌する可能性も秘めている。

6G 開発競争のトップは中国

現在、6G 開発競争のトップを走るのは中国だ。2020年11月には世界初の6G衛星の打ち上げに成功したほか、ファーウェイ、ZTE、国家電網、中国聯合通信など、国営・民間企業が続々と、3つの6G技術分野(構成要素技術・無線統合技術・高度化技術)の研究に乗り出している。

一方、Qualcomm、Intel、Microsoft、IBM(米国)、Ericsson(スウェーデン)、Nokia(フィンランド)、Samsung、LG(韓国)などの海外勢も、独自の6G研究・開発で世界のトップを目指す。

日本政府が研究開発に補助金

日本においても「Beyond 5G(6G)」をスローガンに掲げ、国家を挙げての積極的な取り組みがなされている。

総務省は2020年、6Gへのロードマップを発表。2030年の実用化を目途に、「Beyond 5G 新経営戦略センター」の設置を発表した。さらに21年度の補正予算案には、数百億円規模の補助金を盛り込む方針だ。具体的には6G技術に関する研究開発案件を公募し、国内外の企業や大学の共同開発を支援する。

また、既存の電波法を見直し、周波数帯などを使う実験のための免許取得要件を緩和するなど、民間企業が開発に取り組みやすい環境の整備に注力する。米国や北欧諸国の企業や研究機関などとの連携を促すと同時に、日本の国際競争力を後押しする意図だ。

国内民間企業ではNTTが富士通と共同で、6G向けの基盤技術と見込まれている光通信技術「IOWN(アイオン)」の開発を進めているほか、KDDIがトヨタと資本提携を強化し、6G時代を見据えた戦略に向けて2030年までに2兆円を投じる意向を表明した。KDDIは処理速度138Gbpsの暗号アルゴリズム「Rocca」の開発にも成功している。

一方、ソフトバンクは岐阜大学などと提携し、「テラヘルツ無線通信(5Gのミリ波より高周波数帯を用いて、速度・広帯域の向上を目指す技術)」用の超小型アンテナの開発に成功した。

実現は2030年前後?

6Gへの移行時期については、移動通信システムがほぼ10年ごとに進化を遂げてきた背景と、主要国の目標達成時期や開発状況を考慮すると、2030年前後の導入が目安となりそうだ。

開発の進展と共に投資がより活発化する領域であることを念頭に、今後の動向を注視したい。

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株式会社ZUU

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