コラム
掲載日
2021.12.23

日本でも導入される?国民全員に現金を定期給付する「ベーシックインカム」

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株式会社ZUU

(画像=PIXTA)

テレビやインターネットで「ベーシックインカム」という単語を耳にしたことはないだろうか。海外ではすでに試験導入している国もあり、社会保障の新たな形として注目を集めている。日本でも将来的に導入される可能性があるのだろうか。

ベーシックインカムとは?

ベーシックインカム(BI)は、一定額を無条件で個人に給付する仕組みのことを指す。

ここでいう「一定額」とは、生活に必要な最低限の金額のことを指すことが多い。また「無条件」で給付するため、給付対象の個人が就労しているかどうかや資産が多いかどうかは、特に問われない。

「生活保護」との違いは?

日本には「生活保護」という制度があり、ベーシックインカムとよく比較される。この2つの制度は、個人にお金を給付するという点では同じ性質を有するが、すでに説明したとおり、給付対象者に関しては大きな違いがある。

生活保護制度の場合は「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方」(※厚生労働省の公式ウェブサイトより)が対象だが、ベーシックインカムの場合はこうした要件が設けられない。

つまり、仮に日本で実施するとして、国全体で導入する場合は日本国民全員に、自治体が独自に導入する場合はその自治体の住民全員が給付対象者となる。

ベーシックインカムの3つのメリット

ベーシックインカム導入の是非について、日本でも盛んに議論が行われるようになった理由は、導入のメリットが大きいと考える人が増えつつあるからだ。

メリット1.労働意欲の向上

基本的には、生活保護制度の仕組みだと仕事を始めると生活保護費の支給が打ち切られることになる。そのため生活保護費の支給を一度受け始めると、人によっては労働意欲が湧きにくくなる。

しかしベーシックインカムであれば、働き始めても給付がストップするわけではない。働いた分の給与分が純粋にベーシックインカムによる収入分に上乗せされるため、労働意欲が湧かないといった問題が起きにくいとされる。

なお、その逆の意見として、働かなくても一定のお金が支払われることに懸念の声もある。それによって、労働意欲を失う人が一定数出てくる恐れもあるからだ。

メリット2.網羅性

生活保護費の支給を受けるためには、個人が能動的に各自治体の福祉事務所に対して相談・申請する必要がある。そのため、本来であれば生活保護費が支給されるべき水準にある人であっても、その人が生活保護の申請をしていなければ、支給の対象から抜け落ちてしまう。

一方、ベーシックインカムであればこうした懸念がない。支給を受ける際、個人による申請を必要としないためだ。

メリット3.社会保障制度のコスト削減

社会保障制度のコスト削減もメリットとして挙げられる。

生活保護制度の場合、申請者に生活保護費を支給するかどうかに関して、その都度担当者による審査が行われる。支給開始後は、定期的な面談も必要になる。こうした制度を維持する限り、多大な人件費をはじめとするコストが発生し続けるのだ。

ベーシックインカムであればこうした手間を必要としないため、制度の維持コストをかなり圧縮できるわけだ。コストを削減できれば、その分を支給対象者に還元できるようになる。

ベーシックインカムがすでに導入されている国は?

ナミビアやケニアなど、新興国の中には貧困対策としてベーシックインカムの給付実験が行われているところがある。そして最近では先進国でも導入実験をする国が増えつつある。

例えば欧州では、2017から2018年にかけてフィンランドでベーシックインカムが試験導入され、無作為に選ばれた25から58歳までの2,000人に毎月560ユーロが支給された。アメリカでも一部の州や市で導入実験がスタートしている。

ただし、今のところ全国民に無条件で一定額を支給する形でのベーシックインカムを正式スタートさせた国はない。

日本で導入される可能性はあるのか?

日本でベーシックインカムが今後導入される可能性はあるのだろうか。最近では導入論を唱える有識者や政治家も増えており、可能性はもちろんゼロではない。その一方で慎重論も多く、まずは他国で成功事例が出なければ進展しないと考えられる。

また、ベーシックインカムを実現するためには、その財源が必要となることも、当然忘れてはいけない。その予算をどのように捻出するのかは、今後導入論が強くなったとしても、ついてまわる課題だ。

日本はただでさえ少子高齢化によって、社会保障費が国の予算を圧迫している。こうした状況の中での導入は非現実的と指摘する声もある。

世界におけるトレンドワード

ベーシックインカムが日本で導入されるかどうかはまだわからないが、世界におけるトレンドワードであることには間違いなく、仕組みやメリットをよく理解しておきたいところだ。

世界中で導入されれば人々の生活、働き方が大きく変わり、社会が一変することも考えられる。それが良い方向へと進むことに期待したい。

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株式会社ZUU

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