コラム

投資信託にはご注意いただきたい事項があります。くわしくは「投資信託の注意事項」をご覧ください。

掲載日
2021.10.4

資産形成の必要性

Writer

ファイナンシャルリサーチ 深野 康彦

人生100年時代の備え

人生100年時代と言われるようになったことから、これから高齢者になる世代は、一人ひとりが社会の変化や自身のライフスタイルを踏まえて、老後のライフプラン(生活設計)を考えていく必要があります。

一昨年「老後資金2000万円問題」が世間を賑わしましたが、金額の是非はさておき公的年金だけで30年前後の長い老後を賄うことができにくいことを白日の下にさらしたのは記憶に新しいところです。

長い人生を俯瞰すると老後のほか、マイホームの購入(住宅)、結婚や子育て(教育)といった古くからの人生三大資金のほか、留学や起業、商売を始める、あるいは近年では若いうちから経済的に自立する「FIRE」など、まとまった資金を必要とするライフイベントも多種多様になっています。

一方、資金の運用や準備に目を転じると低金利は既に四半世紀も続いており、かつさらなる長期化が予測されています。日本以外に米国や欧州などの主要先進国にも低金利が蔓延し始めていることから、預貯金や国債などの元本が安全な金融商品だけで資金を増やすことは年々難しくなっているのです。

加えて、私たちの勤労収入は増えてはいるもののその伸び率は緩慢で、国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、平均給与のピークは1997年の467万円が最高額で未だその水準を超えていないのです。当時と現在を比較すれば、相対的に女性や高齢者の就労者が大幅に増えた結果、平均給与額は過去最高額を更新していないという意見もありますが、その背景を述べるよりも単純に数字を比較した方が説得力は増すと思われてならないのです。

民間企業の平均給与の推移

(出所:国税庁、民間給与実態統計調査)

勤労者の収入の伸びは緩慢、低金利のさらなる長期化、多様化するライフプランなどを考慮すれば、豊かで安心な生活を過ごすためには一人ひとりが自助努力による資産形成を行う必要があるのです。

「iDeCo(イデコ)個人型確定拠出年金」「NISA(少額投資非課税制度)」「つみたてNISA(つみたて方式の少額投資非課税制度)」といった非課税投資制度の充実。投資信託やETF(上場投資信託)などは少額資金から資産形成を始められます。金融機関の店舗に出向かなくても自身のパソコンやスマートフォン経由で取引ができるなど、資産形成を行う環境は整えられておりまた始めるハードルもかなり低くなっているのです。

思い立ったが吉日

資産形成の必要性や始める環境の整備は整っていますが、私たちは何から、あるいはどんな風にその第1歩を踏み出せばよいのでしょうか?

資産形成は「長期・積立・分散」が基本となります。「長期」とは長い時間をかけることで収益を確保するチャンスが増え、「積立」では価格が変動する商品を高値でたくさん購入してしまうリスクを抑え、「分散」では性格の異なる資産を複数保有することで価格変動の振れ幅を抑えて資産を増やしていく運用スタイルになります。

資産形成は思い立ったが吉日と言えますが、その前に現預金をある程度確保しておくことが大切になります。資産形成を担う中心的な金融商品は、投資信託や株式など元本が保証されていないことから絶対に収益が得られるわけではありません。そのため、現預金をしっかり確保することでやむをえない事情で投資信託や株式を売却しなければならないリスクを避けるために、現預金をしっかり確保できていない人はまずは積立貯蓄などで現預金を確保するようにするのです。

積立貯蓄を行いある程度の現預金を確保できたら、投資信託や株式などの収益性が高い金融商品を資産の一部に組入れていくようにします。その際、資金の準備の目的(ライフイベント)をしっかり確認するようにします。投資信託や株式などの元本が保証されていない金融商品は近い将来のライフイベントには対応しにくいからです。マイホーム購入の頭金、3年後の子どもの進学資金などは減らしてはいけないライフイベント費用ですから、低金利と言えども安全確実な預貯金などで準備するのが基本になります。長期の目的と言えば、老後や十数年以上先の子どもの教育費などが該当しますが、ライフプランにおける資金準備は通常近い将来のイベント費用の準備が優先されます。

人生100年時代、老後が大切だからと言って若い人が資金準備の最優先目的を老後にするのは本末転倒。老後を迎えるまでの間にやってくるライフイベントをしっかりと把握した上で資産形成の目的の優先順位をつけるようにすべきなのです。

積立貯蓄に加えて投資信託の積立投資を行うことで、ある程度の金融商品の分散が図れまた収益率の上昇が期待できますが、資産形成はここからが本番になります。資産形成のプランは適宜見直しが必要になるからです。収入の増減、転職、起業、家族が増えた、あるいは大病をしたなどの家計収支の大幅な変更があった局面のほか、ライフプランの変更などが発生したら、毎月の積立額や積み立てる商品への資金配分の見直しが必要になります。

1年間状況が変わらなかったとしても、資産状況の現状把握は行いましょう。資産全体に占める投資信託などの割合が増えすぎていたら、リスクの取りすぎになっている可能性があるので、投資信託を一部売却して現預金に回す、あるいはリスクの低い債券を中心に運用される投資信託に回すなど資産の分散を図り、資産全体の価格変動の振れ幅を抑えるようにして資産形成を行っていくようにするのです。

Writer

ファイナンシャルリサーチ 深野 康彦

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