コラム
掲載日
2021.05.18

老後の重要な資金源
「退職金」の手取り金額を増やすコツとは?

Writer

株式会社ZUU

(画像=PIXTA)

多くのサラリーマンにとって、退職金は「まとまった資金が手に入る」数少ない機会だ。老後生活の資金源になるケースも多く、できる限りたくさん受け取りたいというのが本音だろう。

退職金の額面金額を増やすためには、仕事で結果を出して社内評価を高めたり、役職が上がったりしないと難しいかもしれない。しかし「手取り金額」を増やすことは、ちょっとしたコツで実現可能だ。

退職金の手取り金額を増やす要諦は「税金を低く抑えること」にある。この記事では、退職金の手取り金額を増やすコツを見ていこう。

一括受け取りと年金受け取りの違い

退職金の受け取り方には「一括受け取り」と「年金受け取り」の2つの方法がある。したがって、退職金の受け取り方のパターンは以下の3つに大別される。

(1)全額を一括で受け取る
(2)全額を年金で受け取る
(3)一時金と年金を併用する

(3)には、退職金総額が2,000万円の場合、1,000万円を退職時に一時金として受け取り、もう1,000万円を年金として受け取るなどの方法がある。

手取り金額を増やすためには、「一括受け取り」と「年金受け取り」それぞれの特性を理解する必要がある。

税金が優遇される一括受け取り

一括受け取りの場合、税金が優遇されているということを押さえておこう。退職金は、長年の勤労に対する対価として一時に支払われるものであることから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税したり、税負担が軽くなるよう配慮されている。退職所得控除の計算方法は以下のとおりだ。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年超 800万円+70万円×(勤続年数−20年)

例えば22歳で入社し、一度も転職せずに65歳で退職した場合、単純計算で勤続年数は43年となる。従って、800万円+70万円×(43年-20年)=2,410万円までは、税金がかからない。これを給与として受け取った場合は単純計算で約684万円の所得税がかかる(国税庁の所得税速算表より。その他の各種優遇は考慮せず)ことを考えると、税優遇の大きさが理解できるだろう。

なお、退職所得控除額を上回る退職金を受け取る場合でも、上回った金額にそのまま税率が適用されるのではなく、上回った金額に1/2をかけた金額が課税退職所得となる。この課税退職所得に所得税率をかけ、さらに所得控除額を差し引くことができる。

一方で年金受け取りの場合は公的年金等控除があるが、公的年金でこの非課税枠を使い切ってしまうことが多いだろう。公的年金控除を超えた分は雑所得になり、税金がかかる。年金受け取りの受給期間や運用利回りにもよるが、相当良い条件でない限り、トータルの手取り金額は、一括受け取りの方が多くなる。

一括受け取りは社会保険料がかからない

税金だけではなく、社会保険料にも違いがある。一括受け取りの場合、多額の退職金を受け取っても社会保険料はかからない。また、退職後に国民健康保険に加入する場合、退職金は保険料の計算で対象となる前年度の所得からも対象外となっており、国民健康保険加入時でも優遇されている。

一方で年金受け取りの場合は、公的年金控除を超えた分は雑所得になり、他の所得と合算され、社会保険料が増加する可能性がある。受け取る退職金の金額にもよるが、社会保険料負担の面からも、トータルの手取り金額は一括受け取りの方が多くなるケースが多い。

退職金の手取り金額を増やす2つのコツ

ここからは、退職金の手取り金額を増やす2つのコツを見ていこう。

(1)原則として一括で受け取る

上記したように、年金受け取りの受給期間や運用利回りやその他所得の多寡にもよるが、相当良い条件でない限り、トータルの手取り金額は一括受け取りの方が多くなる。そのため、一括で受け取ることを前向きに検討したい。

特に退職金で住宅ローンを繰り上げ完済もしくは一部繰り上げ返済しようと考えている場合、少しでも早く行動した方が利息負担は少なくて済む。ただし、一度に多額の資金が手元に入ることで気持ちが大きくなり、浪費をしてしまったり、慣れない資産運用に手を出して損をしてしまったりすることには注意が必要だ。

(2)退職日をコントロールして非課税枠を増やす

一括で受け取ると仮定して、退職日をコントロールすることで、非課税枠(退職所得控除)を増やすことが可能だ。注目すべきは、退職所得控除を計算する際の勤続年数のカウント方法だ。実は、勤続年数に1年未満の端数があるときは、たとえそれが1日でも1年として計算する。

例えば4月1日入社の人が、3月31日に退職ではなく4月1日に退職した場合、退職日が1日しか違わなくても、3月31日退職に比べて、退職所得控除の計算上の勤続年数が1年増える。勤続年数が20年超の人は、勤続年数が1年増えると、非課税が70万円増える。

退職金は、非課税枠を超えた部分の1/2が課税対象になるので、非課税枠が70万円増えるということは、課税退職所得は35万円減る計算になる。実際はこれに税率をかけることになるが、退職日を1日ずらすだけで非課税枠が70万円増えるのであれば、検討する価値があるだろう。

できる限り手取り金額を増やして、老後の生活を豊かに

ここまで、退職金の一括受け取りと年金受け取りの違い、退職金の手取り金額を増やすコツを見てきた。

退職金は老後の生活を支える重要な資金源であり、退職金をもらえることを前提にライフプランを組んでいる人もいるだろう。できる限り手取り金額を増やして、老後の生活を豊かにしていこう。

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株式会社ZUU

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