コラム

投資信託にはご注意いただきたい事項があります。くわしくは「投資信託の注意事項」をご覧ください。

掲載日
2021.04.03

投資信託の分配金は「受取型」or「再投資型」どっちを選ぶべき?

Writer

株式会社ZUU

(画像=Monster Ztudio/stock.adobe.com)

初めて投資信託にチャレンジしようとする方にとっては、分配金を「受取型」にするのか「再投資型」にするのかというのは迷ってしまうポイントかもしれない。

投資信託で狙った利益を出すためには、分配金について正しく知っておくことが大切だ。この記事では、そもそも分配金とは何なのか、「分配金受取型」と「分配金再投資型」にそれぞれどんな特徴があって、どちらを選ぶべきなのかを詳しく解説していく。

投資信託の分配金とは?

まずそもそも「分配金」とはどのようなものなのか、基本から確認していこう。

投資信託では、多数の投資家から集めたお金を、投資のプロがさまざまな銘柄に分散させて運用を行っている。投資信託が決算の時期を迎えると、投資家に対し、その出資割合に応じて運用の収益を分配する。これが分配金だ。

銀行預金の利息や株式の配当金との違い

分配金が銀行預金の利息や株式の配当金とどのように異なるのか、よくわからないという方もいるだろう。その2つとの違いについても理解しておこう。

・銀行の利息との違い

分配金は、投資信託を保有していることで受け取れるお金だ。銀行預金の利息や株式の配当金などと似ているように思えるが、実はそれらとは異なる特徴を持っている。

銀行の利息は、基本的に預けるときに金利が決まっていて、それに基づいて確実に決められた期間で決められた金額の利息が受け取れる。一方で、分配金の場合は一定の金額が約束されているわけではなく、投資信託の運用成果によってその都度受け取れる金額が変わる。

選んだ投資信託の運用方針によっては、そもそも分配金がないということもあり得る。

・株式の配当金との違い

株の配当金は、「投資家への利益の還元」として株式を保有していると受け取れるお金だ。企業の業績などに応じて受け取れる金額が変わり、そもそもない場合もあるという点は投資信託の分配金と共通している。

では「分配金」と「配当金」が同じかというと、そうではない。株式ではたくさん配当金を出したからといって、その企業の株の値段(株価)が下がることはあまりない(むしろ上がる可能性がある)。

しかし投資信託の場合、分配金を出すことはその投資信託の資産を削っているのと同じことであるため、出せば出すほど投資信託の値段(基準価額)が下がってしまう。

分配金の仕組み

「分配金を出すほど基準価格が下がる」とは、一体どういうことなのか。分配金の仕組みについて、もう少し深掘りしていこう。

・基準価額と純資産総額

「基準価額」は投資信託(ファンド)の値段を指し、多くの場合1口または1万口あたりの値段のことだ。基準価額が安いときに投資信託を購入し、高いときに売却すれば、その価格差の分だけ「値上がり益」が得られる。

基準価額に、その投資信託を購入した人が保有する口数(くちすう:投資信託を取引するときの単位)をかけたものを「純資産総額」という。分配金は、この純資産総額の一部から支払われている。

純資産総額には、多くの投資家が出資したお金やその運用で得た利益などが含まれる。分配金を出すということは、投資の原資や今まで出た利益を「投資信託のもの」から「投資家のもの」にするということだ。

いわば身を削って出している状態なので、分配金を出せば出すほど投資信託の純資産総額が下がり、それと連動して基準価額も下がる仕組みになっている。

・普通分配金と特別分配金

投資信託の分配金には、「普通分配金」と「特別分配金」の2種類がある。この2つの違いもおさえておきたい。

普通分配金は「投資信託の運用で得られた利益の還元」にあたる。分配金の支払いが終わった後の基準価額が、購入したとき(投資を始めたとき)の基準価額よりも高い場合の分配金を「普通分配金」と呼んでいる。

少々ややこしいのが「特別分配金」だ。名前からすると「特別に追加で分配してもらえるお金」のようにポジティブなイメージを抱くかもしれないが、実はこれは別名「元本払戻金」とも呼ばれている。

つまり投資の利益ではなく、自分が出資したお金(投資信託の元本)が戻ってきているだけということだ。分配金の支払いが終わった後の基準価額が、購入したときの基準価額を下回る部分を「特別分配金」と呼んでいる。

・分配金が多い投資信託=運用成績がいい投資信託とは限らない

分配金がたくさんもらえたらうれしいと思うかもしれない。しかし「5万円もらえた!」と喜んでいても、場合によっては分配金を出したことで、投資信託の値段が10万円下がっている可能性もあるのだ。

手元に入ってくるお金だけに目を取られがちだが、もともと投資をしている元本の変動も気にかけておく必要がある。

分配金を出すと純資産総額や基準価額が下がってしまうため、投資信託の中には「運用成績は好調でも、あえて分配金は出さない」という信念で運用されているものもある。

分配金の有無や金額、頻度は投資信託ごとに異なる。投資する前に目論見書(もくろみしょ:投資信託の取扱説明書)などを見て、その投資信託がどのような方針なのかチェックしておこう。

分配金は受取型か再投資型かを自分で選ぶ

分配金が「ある」投資信託と「ない」投資信託、自分でどちらかを選ぶことができる。また、分配金がある投資信託では、分配金を手元に受け取るのか(分配金受取型)、受け取らずに投資の元本とあわせて再度投資に回すのか(分配金再投資型)も基本的に選べる。

分配金をどうするか、いずれの方法を選ぶにせよメリット・デメリットがある。自分の投資目的や投資方針と照らして、合う方を選びたいところだ。次は「分配金受取型」と「分配金再投資型」のそれぞれの特徴について詳しく見ていこう。

分配金受取型とは?

分配金受取型は、分配金が出たら手元に受け取るのが特徴だ。投資信託の購入時に「分配金受取型」を選ぶと、投資信託が決算ごとに支払う分配金を自分が指定した口座に入金してもらうことができる。

決算の時期は投資信託ごとに異なり、毎月分配金が出るものもあれば、半年に1回や1年に1回といったものもある。

分配金受取型のメリット

分配金受取型のメリットは、定期的に口座に入金されるので、年金や毎月の給料の足しにしやすいことだ。

受け取った後は現金として引き出して利用するなり、貯めておくなり、別の投資に回すなり、自分のお金なので当然自由に使える。少しずつでも何回も継続してお金を受け取り続けることができれば、運用している実感や得しているような感覚を覚えやすいだろう。

分配金受取型のデメリット

お金が受け取れてうれしい反面、前述のとおり投資信託の分配金が出るということは、つまり投資信託の値段が下がっているということである。そのため、実は諸手を挙げて喜べる状況ではない点には注意したい。

特に、受け取っている分配金が特別分配金だった場合、お金が増えているわけではなく利益の還元でもなく、自分が手数料を払って投資したお金がただ返ってきただけである。

また、分配金を受け取ると運用に回せる資産が減ることから、運用効率も下がる。分配金の分も投資に回していれば得られたはずの利益やチャンスを、自ら逃しているという捉え方もできる。

分配金受取型が向いている人

分配金受取型が向いているのは、例えば以下のような人だ。

  • 定期的に少しずつお金を受け取っていきたい
  • 分配金をおこづかい代わりにしたい
  • 投資をしているという実感が欲しい
  • 値上がり益よりインカムゲイン(その資産を保有していることで得られる利益)を重視する

分配金再投資型とは?

分配金再投資型は、分配金が出ても自分の手元に支給されることはない。受け取らなかった分の分配金は、その投資信託の中で「投資用の資金」となって再度投資されていくのだ。

分配金再投資型のメリット

分配金再投資型の大きなメリットとして、資産価格が上昇する局面において 「複利の効果」が得られることが挙げられる。「複利(ふくり)」とは、元本だけでなく、増えた利子の分にも利子がつくことを指す。元本にしか利子がつかない「単利(たんり)」に比べ、お金が増えやすくなるのが特徴だ。

例えば同じ年3%の運用成果でも、単利の場合は300万円を元手に30年間投資すると最終的に570万円になるが、複利(1年複利)の場合はおよそ730万円と160万円近い差が出る。(※手数料等は考慮していない)

投資信託では、運用がうまくいって投資の元本が増えた分をさらに再投資することで、元本だけのまま運用するよりお金が増えやすくなる。

投資期間が長くなるほど複利の効果は大きくなり、単利と複利の差が開いていく。特に長期的に投資をしたいと考えている方にとっては、複利は大きな味方になってくれるだろう。

分配金再投資型のデメリット

分配金再投資型の場合、定期的な利益分配がないため、「利益が出た」と確定するのはその投資信託を手放して当初より高値で売れたときになる。成果を感じられるのが投資してから何年も(場合によっては何十年も)経った後になることもあるし、複利が活かせるといっても確実にお金が増えるとは限らないうえ、資産価値が下落する局面では資産が小さくなるスピードも速まり、結果的に損をしてしまうリスクがある。こうした点がデメリットだと言えるだろう。

分配金受取型のように、少しずつ利益を享受して投資のメリットを感じていけるわけではないため、人によっては先が長すぎてあまり取り組む意欲が湧かないかもしれない。

分配金再投資型が向いている人

分配金再投資型を選ぶのが向いているのは、以下のような人だ。

  • 数年先、数十年先を見据えて長期的な投資をしたい
  • インカムゲインより値上がり益を狙いたい
  • 少しずつ分配金を受け取るより将来大きな利益を得るための原資を確保したい
  • 運用期間が長く取れる

迷ったら「分配金再投資型」がおすすめ

ここまで投資信託の分配金の仕組みや特徴について解説してきたが、「分配金受取型」と「分配金再投資型」どちらがいいか迷ってしまう方もいるかもしれない。もしどうしても決められないなら、「分配金再投資型」をおすすめする。

先述のとおり、分配金再投資型なら複利の効果が活かせるため、分配金受取型よりもお金を増やしやすい。初心者でもリスクを抑えて取り組める長期運用に向いているし、まだ今後の投資方針などを決めきれない場合でも、ひとまず分配金再投資型を選んでおいて、慣れてきたころにじっくり考える……といったことも可能だ。

投資信託の分配金、よくある質問Q&A

投資信託の分配金は少々ややこしい仕組みになっているため、初めて取り組む方にとっては特に疑問に感じるポイントが多いだろう。

気になる点をあらかじめ解消して、ある程度理解できた状態で投資をスタートできるのが理想の状態だ。迷わず投資信託に挑戦できるよう、最後に投資信託の分配金についてのよくある質問とその答えを紹介する。

Q1.分配金受取型だと、いつどうやってお金を受け取れる?

A1.分配金は投資信託の決算日から5営業日以内に、事前に自分が指定した口座に振り込まれるのが基本である。

決算日は投資信託ごとに異なる。例えば決算日が20日(水曜日)なら、翌週の26日(火曜日)までには入金があるはずだ。いつ決算があるのかは目論見書などでチェックできる。

なお分配金を受け取るためには、決算日の前営業日までに投資信託の購入が完了・保有している必要がある。自分がいつ・いくら分配金を受け取ったのか知りたいなら、たいていの場合は金融機関のマイページにログインして「分配金のお知らせ」などを見れば手軽に確認できる。

Q2.分配金に税金がかかるって本当?

A2.これについて半分は本当で、半分は正しくない。

投資信託の分配金には、前述のとおり利益の還元である「普通分配金」と元本の払い戻しである「特別分配金」の2種類がある。普通分配金は「配当所得」として税金がかかるが、特別分配金は投資で利益を出したわけではないため、非課税となる。

普通分配金なら、受取型でも再投資型でも税率は20.315%と決められている(2021年3月現在)。

なお、NISAやつみたてNISA、iDeCoなど、投資にまつわる税制優遇制度を利用している場合は、いくら利益が出たとしても非課税になる。

手元に残る利益が20.315%違うとかなり大きなインパクトがあるので、投資信託に投資するときはこれらの制度についても調べて、うまく利用するようにしたい。

Q3.分配金はいくらもらえるの?

A3.分配金の金額は、投資信託によっても運用成果によっても異なる。

銀行の利息のようにあらかじめ決まっているものではないので、毎回受け取る金額が違うなど、少しわかりにくいかもしれない。

投資信託の目論見書を見れば、その投資信託が過去にいつ・いくらの分配金を支払ったか確認できる。ただし、過去に分配金を毎月出しているからといって、今後も確実にそれが続くとは限らない点には要注意だ。

なお、目論見書はその銘柄に投資していなくても、投資用の口座を持っていない段階でも、ウェブサイトなどから無料で読める。また、自分が受け取った分配金の金額などは、自分の金融機関のマイページなどで口座情報を確認すればわかる。

分配金が出ると基準価額が下がる。今まででどれくらいの利益が出たかは、分配金の受取額や基準価額の変動などを計算した「トータルリターン」で判断しよう。

・トータルリターン = 現在の評価金額  + 受け取った分配金 + 今までに売却した金額 - 今まで購入した金額 - 購入時手数料

Q4.「分配金受取型→分配金再投資型」など、変更は可能?

A4.分配金受取型を分配金再投資型に変更(またはその逆)できるかどうかは、金融機関による。

インターネットバンキングで手軽に手続きできる金融機関もあれば、そもそもどちらか一方のタイプしか扱っていない金融機関もある。また、同じ金融機関内でも買い付けの方法(口数指定、金額指定、積み立てなど)によって変更できるかどうかや手続方法が異なる場合もある。

確実なのは、その投資信託を購入した金融機関に問い合わせてみることだ。金融機関の公式サイト上で、変更の手続き方法について詳しく案内されていることもあるので確認してみよう。

それぞれの特徴を理解して自分に合った分配金を選ぼう

分配金の仕組みは少々複雑だが、知らないままなんとなく投資してしまうと損につながるかもしれない。毎回少しずつ手元に受け取れる「分配金受取型」と、受け取らずに投資に回す「分配金再投資型」、どうしても迷ってしまった場合は、複利の効果で長期的な運用に有利な「分配金再投資型」がおすすめだ。

分配金は多いほどいいというものではなく、分配金受取型にも分配金再投資型にもメリットとデメリットがあることをおさえておきたい。両方の特徴を理解したうえで、自分の考えに合う方を選ぼう。

Writer

株式会社ZUU

家族や友達にシェアする

コラムの注意事項

本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、当社にて取り扱いのない商品に関する内容も含まれています。

当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。

外部有識者の方にも本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。

本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。

ページの先頭に戻る