コラム
掲載日
2021.03.14

油断大敵!高年収世帯でも陥るかもしれない老後破綻の現実

Writer

株式会社ZUU

(画像=PIXTA)

老後の生活資金が底をつく「老後破綻」は、年収が低い世帯だけに起きる現実ではない。年収1,000万円以上の高年収世帯であっても、きちんと資産計画を立てないままだと同じような状況に陥る可能性はある。「うちには関係ない話だ」と油断するのは禁物だ。

今回は、高年収世帯も老後破綻について考えるべき理由、そして老後破綻に陥らないための対策を解説していく。

「高年収」はあくまでも現役時代の話

現役で働いているときの年収が1,000万円以上と高かったり、共働き世帯で夫婦合わせた所得がそれくらいの額であったりすれば、仮に貯蓄している金額が少なくても通常は生活に困ることはない。

その理由は単純明快だ。子育てで必要な支出や住宅ローンの支払いの額がある程度大きくても、しっかりとまとまった額の収入を毎月手にすることができるからだ。

さらに言えば、年収1,000万円以上である場合、こうした支出や生活費を差し引いても自由に使えるお金(可処分所得)が一定程度残り、少し贅沢をするくらいなら月の家計は赤字にはならないだろう。

ただし、月の家計が赤字にならないからといって貯蓄をしないままだと、老後に痛い目をみる。老後は定期収入として年金を受け取れるが、多くの場合現役時代より収入は落ちる。そしてその状況で今までの生活水準を維持しようとすると、預金はすぐに底をつく。

高年収はあくまで現役時代の話であって、老後の生活を安定させるためには、きちんと資産計画を立てておく必要があるわけだ。

「老後資金2,000万問題」は高年収世帯も無縁ではない

老後の生活資金に関しては、2019年にあるニュースが話題となった。「老後資金2,000万円問題」だ。

この問題は2019年6月に金融庁の金融審査会が公表した報告書で明らかにされたもので、標準的な無職の夫婦のみ世帯の場合、公的年金だけでは生活資金が30年で約2,000万円不足すると試算された。

このニュースを機に老後の生活資金について気にする人が増えたが、高年収世帯は所得が多いだけに、中には自分ごとだと思えず楽観的に考えている世帯も少なくない。しかし前述の通り、高年収世帯でも貯蓄をしっかりしていなければ、老後の生活資金に窮することがあるのだ。

夫婦世帯の老後の収入・支出をシミュレーションすると…

ここからは実際に、老後の収入・支出をシミュレーションしてみよう。

夫が正社員、妻が専業主婦のケースを考えてみる。仮に夫の在職中の平均年収が1,000万円だった場合、年金受給額は国民年金と厚生年金を合わせて約18.9万円となる。妻が国民年金を満額で支払い続けていた場合は月あたりおよそ6.5万円の受給額となる。

つまり、夫と妻の年金受給額を足すと25.4万円となり、この金額が老後の定期収入となる。では、老後に夫婦2人で生活する場合、実際毎月どのくらいのお金が必要になるのだろうか。

公益財団法人「生命文化センター」が2019年9月に発表した「令和元年度 生活保障に関する調査」の結果によれば、「夫婦2人の老後の最低日常生活費」は月額22.1万円、「ゆとりある老後生活費」は月額36.1万円となっている。

仮にゆとりある老後生活費を年金受給額から差し引くと、毎月10.7万円預金を切り崩す必要が出てくる。計算式は以下の通りだ。

25.4万円(年金受給額)-36.1万円(生活費)=▲10.7万円

預金を毎月10.7万円切り崩す場合、1年で128.4万円、10年で1,284万円、30年で3,852万円の貯蓄が必要になってくる。つまり、高年収だからといって現役時代に貯蓄をほとんどしていないのに「ゆとりある老後」を送ると、老後破綻を起こしてしまうわけだ。

しかも近い将来、「人生100年時代」が到来すると言われている。生きている期間が長ければ長いほど、貯蓄しておかなければいけない額も増えていく。

「資産運用」という選択肢も

老後にどのような生活を送りたいのかによって必要な貯蓄額は変わるため、そこから逆算して現役時代に毎月いくら貯蓄すればよいかを把握しておくことが重要だ。

また貯蓄ではなく「資産運用」で効率的に資産を増やしていくという方法もある。投資には元本が目減りするリスクもあるが、中長期的な目線でみれば預金金利を上回るリターンが期待できる。

日本は欧米に比べて資産運用をしている人の割合が低い。しかし近年は、日本政府が国民の資産運用を促進させるため、売却益を非課税とするNISA(少額投資非課税制度)や税制優遇があるiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度を導入し、資産運用の敷居がこれまでに比べて低くなった。

資産運用では「複利効果」によって、投資期間が長期に及べば及ぶほど資産が増えるスピードも速くなっていく。

「いつか投資を始めよう」と考えているなら、その時期が早いに越したことはない。

しかし資産価値が下落する局面ではその分、資産が小さくなるスピードも速まるので、リスクも押さえておく必要がある。

高年収世帯であっても油断は禁物である。老後破綻を回避するためには、現役時代から貯蓄や資産運用に積極的になっておくことが重要だ。なるべく早く老後に備えて計画を立て、自分たちが望む生活を送れるようにしたい。

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株式会社ZUU

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