コラム
掲載日
2021.3.29

「家族信託」を計画、実行するための注意すべきポイント

Writer

オリックス銀行 家族信託サポートデスク

コンサルタント 赤塚 豊

家族信託は、委託者(たとえば親)の財産・想いを受託者(たとえば子)が管理・承継していく仕組みです。委託者・受託者だけではなく、家族や親族に将来、紛争や確執が起きないようにしなければなりません。そうならないために、「家族信託」を計画、実行するための注意すべきポイントを挙げたいと思います。

1.家族信託の理解に欠かせない3つのこと

①親に判断能力があり、信じて託せる家族がいることが大前提です。家族信託は契約なので、当事者である親と子が「契約の目的・効果」を理解していないと取り組めません。

②受託者(子)は、あくまでも財産の管理・処分を担うだけで、信託財産は受益者(親)に帰属することに変わりはありません。

③信託財産から得られる利益は、受託者(子)に入りますが、契約前と同様「受益者(親)の収入」であり、確定申告が必要な場合は親が行います。

2.家族会議がもっとも重要

委託者兼受益者(たとえば親)と受託者(たとえば子)がいれば、信託契約は成立しますが、その他の家族や親族、特に推定相続人がその信託契約内容で納得するかどうかは別問題です。遺言同様、委託者と推定相続人全員の利害と想いが一緒であることの方が少ないと思われ、せっかく設定した信託契約が、遺産争いの原因になることも考えられます。「遺産分割協議」は相続が発生してから始めるのではなく、関係者全員が元気なうちに話し合って決めておくことが望ましいと言えます。家族信託が成功するかどうかは、家族会議にかかっていると言っても過言ではありません。

3.受託者には受託者としての自覚が必要

家族信託において受託者の果たす役割は大きいので、受託者が契約内容をしっかりと理解し、将来にわたりその義務を履行していく自覚が必要です。受託者は、財産管理がずさんだったり、勝手に消費・横領したりということがあってはなりません。

4.後任受託者は必須

受託者が子であっても、受益者である親より前に事故や病気で死亡することもあります。そのような事態を想定し、信託事務が遂行不能にならないよう、後任受託者を決めておく必要があります。信託法では、受益者は新たな受託者を選任できますが、受益者が高齢者や障害者になる場合もありますので、万一に備えて、あらかじめ次の受託者を定めておく必要があるのです。

5.他の法制度との併用も考える

家族信託における信託財産は、全財産のなかの特定の財産だけです。信託財産以外の財産の相続先を遺言で決めておくことは、遺産分割協議を回避するための有効な方法です。また、成年後見制度に代えて、高齢者や障害のある方を受益者とする家族信託を活用するケースも多いのですが、受託者には入院や入所の契約を結ぶ法的な権限はありません。そのため、身上監護権を持つ任意後見契約との併用を検討することも必要です。

6.信託契約の仕組みはシンプルにする

なぜ、家族信託をするのか。

時々、複雑な仕組みの信託契約を見かけることもありますが、信託契約は高齢な親の老後の安心・安全な生活を実現するなど、その目的を達成するためのものです。受託者は家族など一般人ですから、その仕組みをできるだけシンプルにして、受託者がその任務を大きな負担なく遂行できるようにすることが重要です。

赤塚 豊

Writer

オリックス銀行 家族信託サポートデスク

コンサルタント 赤塚 豊

オリックス銀行入社後、不動産管理信託、遺言代用信託、合同運用指定金銭信託などを担当。全国の信託契約代理店向けに相続商品に関する講師を務め、個人のお客さま向けにも相続セミナーを開催。相続コンサルタントとして、多くのお客さまからの相続に関する相談に応じて、アドバイスや家族信託の組成の提案を行っています。

【相続コンサルタントとしての信条】

お客さまに「誠心誠意」「信頼される」を基本精神に、過去の経験や知見をもとに最適な提案を心掛けています。

【保有資格】

家族信託専門士、家族信託コーディネーター、相続アドバイザー、1級建築士、1級施工管理技士、宅地建物取引士(合格者)、ファイナンシャルプランナー(AFP)他

【趣味】

日本全国各地の神社・仏閣巡り

コラムの中でいろいろなエピソードを紹介したいと思っています。

家族や友達にシェアする

コラムの注意事項

本ページの内容については、掲載当時のものであり、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

ページの先頭に戻る