コラム

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掲載日
2021.2.13

代襲相続のすべて|代襲相続できる・できないケースや
法定相続分のシミュレーションも紹介

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株式会社ZUU

(画像=milatas/stock.adobe.com)

代襲相続とは、法定相続人が死亡などの理由で相続ができない場合に、法定相続人の子や孫が代わって財産を相続する制度のことだ。

代襲相続が起こると、法定相続人の人数が増えることがあり、遺産分割の協議が難航しやすい。一方、相続税の基礎控除が増えるなど、代襲相続によって相続人が税制上のメリットを受けられる可能性もある。

今回は、代襲相続に関する基礎知識をまとめて紹介していく。相続人同士のトラブルを防ぎ、円滑に相続を終えるためにも、事前に代襲相続制度について理解を深めておこう。

代襲相続とは?

被相続人(亡くなった本人)の相続が開始したとき、法定相続人がすでに亡くなっているなどの理由で、遺産を相続できないことがある。このとき、法定相続人の子や孫が代わって財産を相続することを、代襲相続(だいしゅうそうぞく)という。

このとき、亡くなった等の理由で遺産相続ができなかった本来の法定相続人を「被代襲者」、被代襲者に代わって相続する人を「代襲相続人」または「代襲者」と呼ぶ。

代襲相続が起こる例としては、祖父が亡くなった時点ですでに長男が死亡しており、長男の子(祖父にとっての孫)が代襲相続人になるといった状況をイメージするとわかりやすい。

代襲相続が起こると、被相続人の財産を受け継ぐ法定相続人の数が増えることがある。そのため、相続について親族同士でトラブルに発展しないよう、代襲相続の仕組みを理解し対策しておくことが大切だ。

法定相続人の数が増えるとトラブルに発展しやすくなるというデメリットがある一方で、相続税の基礎控除や死亡保険金・死亡退職金の非課税限度額に関して、税金の計算上有利になる可能性もある。

相続人は法律で決められている

民法で定められた相続人は「法定相続人」と呼ばれ、法定相続人には下記のような1~3位までの順位がある。

第1順位:被相続人の子(およびその代襲相続人)

第2順位:被相続人の直系尊属(父母・祖父母など)

第3順位:被相続人の兄弟姉妹(およびその代襲相続人)

※被相続人の配偶者は必ず法定相続人になる。

例えば、父・母・子という家族構成で父が亡くなった場合、配偶者である母と第1順位の子が法定相続人となる。

一方、夫婦のみで子がいない場合で、夫が亡くなったとしたら、配偶者である妻と第2順位の夫の父母が法定相続人となる。もし夫の父母や祖父母がすでに亡くなっていた場合、配偶者である妻と第3順位の夫の兄弟姉妹が法定相続人となる。

順位が上の法定相続人が1人でもいれば、順位が下の親族が法定相続人になることはない。つまり、父・母・子という家族構成で父が亡くなった場合、父の父母や祖父母、兄弟姉妹は法定相続人とは認められない。

もし、妻の妊娠中に夫が亡くなるなど、相続開始時に胎児であった子でも、死産とならない限り法定相続人になれる。

また、被相続人が認知した非嫡出子(婚姻関係にない相手との子)や養子(人数制限あり)も法定相続人となる。一方、戸籍上結婚していない内縁の配偶者や離婚した元配偶者は法定相続人とは認められない。

代襲相続が起きる3つのパターン

代襲相続が起きる要因としては、下記の3つがある。

  1. 相続人の死亡
  2. 相続人の相続廃除
  3. 相続人の相続欠格

最も多いのは、本来の法定相続人が被相続人より先に死亡しているケースだ。法定相続人が死亡している場合、相続の権利は「代襲」という形でその子や孫に引き継がれる。

「相続廃除」とは、法定相続人が被相続人への虐待や重大な侮辱によって、相続から廃除された場合のことだ。また「相続欠格」は、犯罪への関与等で強制的に相続権を失った場合をいう。このようなケースでは、法定相続人が存命中でも、代襲相続人に権利が移ることがある。

代襲相続人になれる2つのケース

代襲相続人になるには、具体的にどんな条件があるのだろうか。ここからは、被相続人の親族が代襲相続人になれる2つのケースを解説していく。

ケース1.孫・ひ孫

被相続人の法定相続人として、第1位順位である子がすでに死亡している場合、直系卑属である孫やひ孫が代襲相続人になる。

このとき、すでに孫も死亡している場合はひ孫、ひ孫も死亡している場合は玄孫というように、制度上は何代でも相続権を再代襲できることがポイントだ。

ケース2.甥・姪

第1順位、第2順位に該当する法定相続人が1人もおらず、第3順位の兄弟姉妹もすでに死亡している場合、兄弟姉妹の子である甥や姪が代襲相続人になる。

このとき、被相続人の直系卑属とは異なり、甥や姪の子が権利を再代襲することはできない。

代襲相続人になれない3つのケース

次に、被相続人の親族が代襲相続人になれない3つのケースについても解説していこう。

ケース1.直系尊属

相続第1順位である被相続人の子がいない場合、相続権は第2順位である直系尊属に引き継がれる。

このとき、被相続人の父母がすでにどちらも死亡していれば、祖父母が相続することになる。また、祖父母もどちらも死亡していれば、曾祖父母が法定相続人になる。

しかしこれは、最も等身の近い直系尊属として法定相続人に選ばれているのであり、祖父母や曾祖父母が代襲相続人になるわけではない。相続は基本的に「上の世代から下の世代へと引き継がれていくもの」という考えにのっとっているからだ。

代襲相続人になるのはあくまで被相続人の直系卑属または甥・姪であって、直系尊属は代襲相続人に当たらないことを理解しておこう。

ケース2.甥や姪の子・孫

被相続人の兄弟姉妹を被代襲者とする代襲相続人は、その子である甥や姪の代に限り認められる。

たとえ代襲相続人の甥や姪がすでに死亡していたとしても、直系卑属のように、さらに甥や姪の子・孫に再代襲させることはできない。第3順位までの法定相続人が1人もおらず、代襲相続人もいない場合、被相続人の財産は国庫に帰属する。

ケース3.法定相続人の配偶者

法定相続人の配偶者は、相続時の法定相続人にも代襲相続人にもなることができない。法定相続人がすでに死亡している場合、相続の権利は法定相続人の子に移ることになる。

先ほど「被相続人の配偶者は必ず法定相続人になる」と解説したが、「被相続人の配偶者」と「法定相続人の配偶者」では、相続における立場が大きく異なることを理解しておきたい。

しかし家庭の状況によっては、法定相続人の配偶者(長男の嫁など)が最も献身的に被相続人の介護を担ったというケースもあるだろう。その場合は、事前に生前贈与を行うか、遺言を用意しておくことで、法定相続人の配偶者に財産を譲ることも可能だ。

代襲相続で何に影響が出る?

代襲相続が起こると、相続税の基礎控除額や死亡保険・死亡退職金の非課税限度額が変わる可能性がある。ここからは、代襲相続によって相続税にどんな影響があるのかをみていこう。

1.基礎控除

基礎控除とは「相続税を支払わなくていい範囲」のことだ。

相続財産の総額が基礎控除の範囲内であれば、相続税の申告や納付は必要ない。一方、相続財産の総額が基礎控除を上回った場合、相続税の申告や納付が必要となる。

相続税の基礎控除額は、下記の計算式で求められる。

相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

つまり、法定相続人の数が多いほど、基礎控除の金額は大きくなるということだ。基礎控除の金額が大きくなれば、相続税を納めなくてよくなる可能性が出てくる。また、相続税の納付が必要だとしても、基礎控除を差し引いて相続税を計算するため、税金の計算上有利になる。

代襲相続によって法定相続人の数が増えれば、基礎控除が増え、結果的には他の相続人にとっても税金上のメリットが生まれる可能性があるというわけだ。

2.非課税限度額

代襲相続によって法定相続人の数が変わると、死亡保険金や死亡退職金といった「みなし相続財産」の非課税限度額も変わる可能性がある。

みなし相続財産とは、死亡保険金や死亡退職金のように、被相続人が生前に遺した財産ではないものの、被相続人の死亡をきっかけに相続人が受け取った財産のことをいう。

みなし相続財産は相続税の課税対象だが、相続税を計算する上で、受け取った金額から下記の非課税限度額を差し引くことができる。

  • 死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
  • 死亡退職金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

死亡保険金や死亡退職金についても、法定相続人の数が増えるほど非課税限度額が大きくなり、相続税の計算上有利になるのだ。

他の法定相続人の法定相続分は変わらない

代襲相続で法定相続人の数が変わっても、代襲相続に直接関係しない他の法定相続人の相続分は変わらない。

例として、被相続人の配偶者(妻)と子(死亡)の2人が本来の法定相続人で、死亡した子の3人の息子(被相続人にとっての孫)が代襲相続人になるケースをイメージしてみてほしい。

法定相続人が配偶者と子1人の場合、法定相続分の割合は配偶者が1/2、子が1/2である。このとき、法定相続人の数が増えても、配偶者の法定相続分は変わらず1/2のままだ。

3人の代襲相続人は、被代襲者に割り当てられた1/2の相続分をさらに3人で頭割りし、1人あたり財産の1/6を受け取ることになる。代襲相続が予想される場合は、他の法定相続人の相続分は変わらず守られるということを頭に入れておくといいだろう。

代襲相続の基礎控除や相続分をシミュレーション

ここまでの内容を総括して、代襲相続の際の基礎控除や相続分を実際にシミュレーションしてみよう。ここでは、被相続人の財産総額が5,000万円、配偶者Aと2人の子BとC、3人の法定相続人がいるケースを考えてみる。

1.代襲相続ではないケース

法定相続人A、B、Cが全員存命の場合、代襲相続は起こらない。このケースにおいて、民法で定められた法定相続分は配偶者が1/2、子が1/2である。子が複数いる場合は相続分を頭割りするため、子BとCの法定相続分はそれぞれ1/4ずつになる。

相続財産の合計額は5,000万円であるから、A、B、Cの法定相続分はそれぞれ下記のようになる。

配偶者A:5,000万円×1/2=2,500万円

子B、C:5,000万円×1/4=1,250万円

また、相続税の基礎控除を計算式に当てはめて計算すると、下記の通りだ。

相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×3)=4,800万円

この結果から、代襲相続が起こらない場合、5,000万円のうち4,800万円分の相続税が控除されるものの、残りの200万円分は課税対象となることが分かる。

2.代襲相続が起きたケース

次に、法定相続人A、B、CのうちCはすでに死亡しており、Cに2人の子(被相続人にとっての孫)DとEがいるケースを考えてみよう。このときDとEはCの代襲相続人となり、財産を受け取ることができる。

このケースにおいて、民法で定められた法定相続分は配偶者Aが1/2、子BとCがそれぞれ1/4である。代襲相続では、AとBの法定相続分は変わらず、DとEは親であるCの相続分を頭割りする。そのためDとEの相続割合はそれぞれ1/8(1/4×1/2)だ。

相続財産の合計額は5,000万円であるからA、B、D、Eの相続分はそれぞれ下記のようになる。

配偶者A:5,000万円×1/2=2,500万円

子B:5,000万円×1/4=1,250万円

子Cの代襲相続人D、E:5,000万円×1/8=625万円

また、相続税の基礎控除を計算式に当てはめて計算すると、下記の通りだ。

相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×4)=5,400万円

このケースでは、代襲相続によって法定相続人の数が増えたことにより、相続税の基礎控除額が財産額を上回り、相続税がかからなくなる。

養子は代襲相続人になれる?養子の数の制限にも注意

次に、相続における養子の扱いについてみていこう。養子であっても法律上は被相続人の直系卑属と認められるため、実子と同等の相続分を持つ法定相続人になれる。

ただし、被相続人の養子が複数いる場合、相続税の基礎控除の計算に含まれる養子の数は、実子がいる場合で1人まで、実子がいない場合2人までと制限されている。養子の数を増やせば基礎控除が無制限に増えるわけではないことに注意したい。

また、被相続人の養子がすでに死亡している場合、養子の子である孫が代襲相続人になれるかどうかは、孫の出生時期により異なる。出生時期による判断基準は下記の通りだ。

  • 養子縁組前に生まれた養子の子:代襲相続人になれない
  • 養子縁組後に生まれた養子の子:代襲相続人になれる

養子の子が代襲相続人になれるかどうかを知るには、親が被相続人の養子になった時期と子が生まれた時期を把握する必要がある。

相続放棄とは?代襲相続人が相続できないケース

自分の親が法定相続人であったとしても、法定相続人が相続放棄をしている場合は、たとえその子や孫が相続を希望しても代襲相続人になることはできない。

相続放棄とは、相続人が自分の意思で法定相続分を放棄することをいう。例えば、借金などのマイナスの財産を引き継ぎたくない場合や、相続トラブルに巻き込まれたくないと考えている場合などに行われることが多い。

法定相続人が相続放棄をすると、放棄した財産は同順位の相続人の相続分に上乗せされるか、下位の相続人に相続権が移る。

代襲相続の手続きは?必要書類も紹介

代襲相続をするのに特別な手続きは必要ないが、相続に関する各種手続きを行うために、下記の書類を集める必要がある。

  • 被代襲者の出生から死亡までの戸籍謄本類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 代襲相続人全員の戸籍謄本類(戸籍謄本、戸籍全部事項証明書)
  • 両親及び亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍謄本(甥・姪が代襲相続人となる場合)

戸籍謄本等は本籍地の役所でしか取得できないため、本籍地が遠方にある場合は、郵送請求の手間と時間がかかる可能性が高い。集める書類の数が増えることも多いため、時間に余裕を持って用意しておくようにしたい。

代襲相続の可能性があるなら早めの相続対策を

代襲相続が起きて法定相続人の数が変わると、税金の計算上メリットがある一方で、相続分をめぐってトラブルに発展するリスクも高くなる。

そのため、すでに代襲相続となることが決まっている場合は、遺言書を遺す、家族で話し合うなどして、対策を講じておいたほうがよいだろう。

また、今のところ法定相続人が健在でも、予期せぬ事態で代襲相続となるケースもある。そういった不測の事態を想定し、配偶者に自らの意思を伝えておくなど、入念に準備をしておきたい。

自分自身が代襲相続人になるケースがあるなら、しっかりと制度について理解しておくとともに、可能であれば家族の存命中に相続に関する意思を確認しておくようにしたい。この他、自分以外の法定相続人が死亡しており、代襲相続になるケースでも、お互いの行き違いがないようにしておくことがトラブルを防ぐポイントだ。

相続が始まってからだと、話し合いが難航するケースも少なくない。家族の存命中にしっかり制度について理解し、全員が納得できる落としどころを見つけておくことが望ましい。

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