コラム
掲載日
2021.2.12

「相続」「認知症」に備える生前の対策

Writer

オリックス銀行 家族信託サポートデスク

コンサルタント 赤塚 豊

超高齢社会を迎えている日本では、子どもにとって親の老後は何十年と続きます。老後が長いこと自体は喜ばしいのですが、一方で、健康寿命と平均寿命に差があることはご存じでしょうか。その差、いわゆる「非健康期間」は男性で9年、女性で13年弱にもなります。例えば、夫婦の年齢差が5歳(母親が5歳若い)の場合、子どもにとって、両親の非健康期間は20年にもなる計算になります。

親の認知症発症による判断能力低下や喪失、相続発生により、本人や家族が困らないように、本人が元気なうちに対策をしていくべきです。

このような社会情勢ですので、家族全員が集まることもままならず、特に親が遠方に住んでいる場合は、帰省もできず思い描いた対策をスムーズに実行できるとは限りません。老後の対策の検討は、早めにすることが肝心です。

財産管理や資産承継にかかわる法制度

上記の表のように、両親が健康な間(健常時)にできる対策は以下の法制度です。

任意後見

任意後見契約は、信頼できる相手(家族や法律専門職)に対し、自分の判断能力が低下・喪失したときの財産管理等をあらかじめ任せておく契約です。任意後見制度は、経済的・事務的負担が大きいことが普及しない原因になっています。

生前贈与

生前贈与を行う前提として、老後の資金はきちんと確保したうえで実施することが肝要です。そのうえで、住居費・教育費など何かとお金がかかる子世代・孫世代に活きたお金として渡すことができます。また、将来の遺産を減らす効果がありますので、相続税対策や遺留分対策にもなり得ます。

注意点として、相続開始前3年以内に贈与した財産は相続税の課税対象に、また相続開始前10年以内に相続人にした贈与は特別受益として遺産分割や遺留分の対象財産になります。生前贈与は、時期を見極めて行う必要があります。

遺言

遺言により法定相続人全員による遺産分割協議の余地を排除できますので、相続人の間に確執があっても争族による遺産凍結の事態を回避できます。相続人に判断能力が著しく低下している方がいたとしても、成年後見人を就けることなく財産の承継がスムーズにできます。家族信託では全財産を網羅できないので、遺言と併用することで財産の資産承継先を漏れなく指定できます。

家族信託

長期間にわたる親の老後について、親も親を支える家族も安心できる備え、疲弊しない仕組みが理想的です。成年後見制度は経済的・事務的な負担が大きく普及していません。

家族信託は、信託銀行や信託会社が受託者になるのではなく、一般の人々が受託者となって「財産管理および資産承継」を行う一つの手法として利用できる仕組みです。親世代と子世代が一体となって、親の安心・豊かな老後生活の実現を目指し、柔軟で負担が軽い財産管理・生活サポートを実現するには「家族信託」がベストだと思います。家族信託は親の生前の財産管理・生活サポートから、遺言代用機能、数次相続対策 まで網羅する、理想的な仕組みと言えます。

赤塚 豊

Writer

オリックス銀行 家族信託サポートデスク

コンサルタント 赤塚 豊

オリックス銀行入社後、不動産管理信託、遺言代用信託、合同運用指定金銭信託などを担当。全国の信託契約代理店向けに相続商品に関する講師を務め、個人のお客さま向けにも相続セミナーを開催。相続コンサルタントとして、多くのお客さまからの相続に関する相談に応じて、アドバイスや家族信託の組成の提案を行っています。

【相続コンサルタントとしての信条】

お客さまに「誠心誠意」「信頼される」を基本精神に、過去の経験や知見をもとに最適な提案を心掛けています。

【保有資格】

家族信託専門士、家族信託コーディネーター、相続アドバイザー、1級建築士、1級施工管理技士、宅地建物取引士(合格者)、ファイナンシャルプランナー(AFP)他

【趣味】

日本全国各地の神社・仏閣巡り

コラムの中でいろいろなエピソードを紹介したいと思っています。

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本ページの内容については、掲載当時のものであり、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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