コラム
掲載日
2020.07.30

少額ほど揉めやすい!
帰省しなくても考えておくべき相続のこと

Writer

株式会社ZUU

夏の帰省シーズンが近づいてきたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響から帰省を控える人も多いだろう。その代わりに、スマートフォンのビデオ通話などを使って実家と連絡を取るという人もいると考えられる。

実家と連絡を取る際に話し合っておきたいのが相続のことだ。「大きな財産があるわけではないし自分の親には関係のない話」と思ってはいけない。なぜなら少額の遺産でも揉めるケースが増えているからだ。

遺産に親の自宅が含まれていると揉める傾向に

(画像=PIXTA)

遺産分割をめぐる紛争は増加傾向にある。最高裁判所の集計によると家庭裁判所で行われた遺産分割調停・審判の合計件数は2019年で1万5,842件だった。これは2009年と比べて約17%の増加となる。2019年に調停が成立した7,284件のうち遺産の金額について見てみると5,000万円超は20%に満たない反面、1,000万円超5,000万円以下は42.6%、1,000万円以下は34%を占めた。

「うちにはそんなに財産はない」と考える人もいるだろうが、そうとも言い切れないだろう。なぜなら遺産の金額が5,000万円以下の場合、親の自宅が大部分を占めていることが多いからだ。例えば、自宅を複数の相続人で均等に分割することは難しい。そのような状況で相続人の一人が親の自宅を相続した場合、残りの相続人が相続できる財産が少なくなることから紛争に発展することが多いのだ。

遺産の金額では少額の類に入る5,000万円以下の相続が、紛争に発展することが多い背景には「相続税の非課税枠」がある。被相続人の遺産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の金額に満たなければ相続税は課されない。「うちの遺産は非課税枠の枠内に収まる」と考えた親が遺言書作成など、遺産分割対策をしていないことも多いのだ。

こうしたケースで紛争となった場合、親の自宅を相続した人は、自分の預貯金などの中から残りの相続人に代償金を支払う代償分割で解決することが多いという。

財産整理の必要性を感じている人は多い

2019年4月に楽天インサイトが実施した「終活に関する調査」によると「『終活』にしておきたいこと」の1位は「財産整理」で62.5%だった。また「終活したい理由」で最も多かったのが「家族に迷惑をかけたくないから」で75.9%。その一方で終活について不安に感じることとして「何から手をつけたらよいかわからない」と答える人が36%と最も多かった。

「財産整理」として行うべきこととして以下のようなことが挙げられる。

財産・負債を洗い出し、リスト化

預貯金や株式、債券、不動産、美術品などの財産はもちろん、ローンやクレジットなどの負債も書き出す。現金を預けている金融機関の口座番号や暗証番号なども記すとよい。また、ネット銀行やネット証券に口座を持っているなら口座番号や暗証番号、ログインパスワードなど必要な情報を残しておく。

使用していない金融機関の口座の解約・期限切れクレジットカードの破棄

財産整理を機に使っていない口座やクレジットカードを整理しておく。名義人の死後、解約手続きは手間がかかる。

不動産の権利書・保険証書の整理

所持している不動産の権利書や保険証書を1ヵ所に整理しておき、相続や保険金の請求時に相続人が困らないようにする。

財産を相続人にどのように相続させるか書いておく

遺言書やエンディングノートに財産の相続について書いておく。不動産や美術品など複数人で分けられないものは、それぞれ誰に相続させるかをはっきりさせておくと遺産分割紛争を回避しやすい。

財産整理ができてリストを作成したら、リストを定期的に更新することも大切だ。なぜならリストを作成したあとも使っていない銀行口座を整理したり保険の受取人を変更したりするといった事態が起きるからだ。誕生日や正月など、わかりやすい日を更新日にしておくとよいだろう。

なお、遺言書を作る際に添付する財産目録は手書きすることが必要だった。しかし、民法改正により2019年1月13日からパソコンで目録を作成したり通帳のコピーを添付したりすることができる。手書きするのは自分の氏名だけだ。

財産整理は何度か話し合いをしながら少しずつ進める

円滑な遺産分割のためとはいえ、子どものほうから親に財産整理について話を切り出すことは、なかなかハードルが高い。ただ親も潜在的には持っている財産をどのように引き継げばよいか気になっている。「最近ネット記事で遺産分割について読んだのだけど何か考えている?」などと遠回しに話を持ち掛けてはどうだろう。

財産整理は一度の話し合いで進むものではない。親も財産を総点検する中で不動産などの分割しにくい遺産をどのように扱うか、家族に相談を持ち掛けてくることもあるだろう。財産が自宅と預貯金・株などで金額の大半を自宅が占めている場合、複数の相続人の間で遺産分割をめぐって紛争に発展してしまう可能性もある。

上記で親の自宅を相続した人が残りの相続人に代償金を払うことになるケースが多いと解説した。これを防ぐために「財産整理を行う過程で親が生命保険に加入する」ことも方法の一つであり、その際に受取人を代償金を支払う相続人にすることで公平な相続ができるという。また、親が亡くなった際に、預金を引き出しやすくするため、相続信託を活用するという選択肢もあるだろう。

遺産分割で争いになることを防ぐためにも時間をかけて財産整理は行いたいもの。そのためにも、この夏から少しずつでも相続の準備を始めてみてほしい。

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株式会社ZUU

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